DBDプラズマアクチュエータを用いたフィードバック流れ制御技術に関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JACA26
利用分野: JSS2大学共同利用
- 責任者: 浅田健吾, 東京理科大学
- 問い合せ先: 浅田 健吾(asada@rs.tus.ac.jp)
- メンバ: 浅田 健吾, 小川 拓人
事業概要
ロケットや航空機, 自動車といった様々な輸送機周りの流れを, プラズマ放電を利用したDBDプラズマアクチュエータと呼ばれるデバイスを用いることで制御し, 高効率で堅牢な輸送機システム開発を実現する. 時々刻々と変化する流れに対応するため, 本事業では3次元非定常流れのシミュレーションを行い, フィードバック制御手法の開発・実証を行う.
参照URL
なし
JSS2利用の理由
圧縮性流体解析ソルバLANS3Dを用いた3次元非定常流れ解析(高忠実度LES)を行うため.
今年度の成果
DBDプラズマアクチュエータ(以下PA)を用いたNACA0015翼周り流れの剥離制御において, 高忠実度ラージエディシミュレーションを実施し, 昨年度の本事業において制御効果が確認されているフィードバック制御モデルのより詳細な検証を行った. 検討する制御モデル(図1)は, 翼面上に配置した圧力センサーの値が急激に低下した際に渦が通過したと判断し, 渦の通過に応じて翼前縁付近に配置したアクチュエータのON/OFFを切り替える制御モデルである. 昨年度においては, 制御モデルの初期検証として1つの流れ条件のみに限定して計算を実施したが(迎角12度), 今年度はより幅広い流れ条件において計算を実施した(迎角14, 16, 18度). 図2にそれぞれの迎角において制御を実施したときの揚力係数(CL)を示す(DTM:提案する制御手法, Burst: バースト駆動, Baseline:非制御). いずれの迎角でも本制御モデルは非制御時と比較して高い揚力を示している. また一定の有効性が検証されているバースト駆動(ON/OFFを一定周期で切り替える駆動方式)と比較しても, 安定して高い翼性能を得ることが確認できた. 図3に, 迎角14度において制御を実施したときの翼周り流れにおける速度勾配テンソルの第二不変量の等値面を圧力係数で色付けしたものを示す. 翼面付近を2次元的渦構造が移流していることがわかる. これらの渦構造は本制御モデルにおいてPAがON/OFFを1回繰り返す毎に1つ生成されており, 本制御モデルが主流環境(迎角)によらず渦の移流を整えることで, 高い翼性能を得ることがわかった.
成果の公表
-査読なし論文
Ogawa, T., Asada, K., Sekimoto, S., Tatsukawa, T., and Fujii, K., “Feed-back Control of Stall Separation with DBD Plasma Actuator by Detecting Vortex Passing over an Airfoil,” AIAA Scitech 2018, Kissimmee, Florida, 2018. AIAA 2018-1059.
小川拓人, 浅田健吾, 関本諭志, 立川智章, 藤井孝藏, “DBDプラズマアクチュエータを用いたフィードバック翼流れ剥離制御のLES -渦移流に伴う翼面圧力変動を利用した制御則の検討-“, 第32回数値流体力学シンポジウム, 217, 2018
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 79 – 84
- 1ケースあたりの経過時間: 30 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.28
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 2,516,926.95 | 0.31 |
SORA-PP | 0.00 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 52.45 | 0.05 |
/data | 20,197.92 | 0.36 |
/ltmp | 2,929.69 | 0.25 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)