細長物体空力特性についての数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JACA12
利用分野: JSS2大学共同利用
- 責任者: 北村圭一, 横浜国立大学
- 問い合せ先: 髙木雄哉(takagi-yuuya-ks@ynu.jp)
- メンバ: 北村 圭一, 髙木 雄哉
事業概要
本研究では, 再使用ロケットを模擬した細長物体に対し, デルタ翼とボルテックス・フラップをフィンとして取り付け, 空力特性の改善を図った. フィンの翼厚さが小さく実験を行うことが難しいため, 数値解析を行うことで, 空力特性と流れ場の取得に成功した. 今後はフィンの形状など, よりよい空力デバイスの検討を行っていくことが課題である.
参照URL
なし
JSS2利用の理由
目的
再使用ロケットなどの細長物体に対して, フィンなどの空力デバイスが影響を与えるメカニズムを明らかにし, 優れた空力デバイスの形状を提案する.
必要性
これまでの研究から, 空力デバイスや機体の周りに発生する渦を解像するため, 少なくとも3000万点以上の要素での非定常計算が必要であることが分かっている. 計算時間を大幅に削減するために, JSS2を利用した.
用途
大規模計算を行う上で, 計算時間を大幅に削減することが必要であったため, JSS2を利用した.
今年度の成果
再使用ロケットを模擬した細長物体に対し, デルタ翼とボルテックス・フラップをフィンとして取り付け, 空力係数の取得と流れ場の可視化を行った. 図1にフィンの形状を示す. 機体のみのケースをBody-alone, フィンのフラップを折っていないFlap_0, フラップを-30°折ったFlap_-30として計算を行った. 図2に各迎角ごとのCmを示す. Body-aloneとFlap_0を比較すると, フィンを取り付けることで, Cmを全体的に減少させることができたが, 逆迎角(迎角90°から180°)においては, 絶対値としては増加してしまうことが分かった. そこで, Flap_0とFlap_-30の逆迎角を比較すると, フラップを-30°折ることで絶対値を減少させることができた. これはフラップを折ることで, フィンの上下面で得られる圧力差が減少するために, 法線力が小さくなることが原因であることが分かった(図3,4).
成果の公表
-口頭発表
Takagi, Y., Aogaki, T., Kitamura, K., and Nonaka, S.: Numerical Study on Aerodynamic Improvement of Slender-bodied Reusable Rocket by Fins and Vortex Flaps, 15th International Space Conference of Pacific-basin Societies, Montreal, Canada, 2018. 高木 雄哉, 青柿 拓也, 北村 圭一, 野中 聡:ボルテックス・フラップを用いたフィン付き再使用ロケットのピッチングモーメント特性, 第50回流体力学講演会/第36回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 宮崎, JSASS-2018-2083-F, 2018.
-ポスター
高木 雄哉, 青柿 拓也, 北村 圭一, 野中 聡:フィン付き再使用ロケットにおけるピッチングモーメント特性の数値解析, 第62回宇宙科学技術連合講演会講演集, 久留米, JSASS-2018-4889, 2018.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 512 – 1024
- 1ケースあたりの経過時間: 100 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.28
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 2,289,004.68 | 0.28 |
SORA-PP | 20,758.14 | 0.17 |
SORA-LM | 13,224.09 | 6.17 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 25.75 | 0.03 |
/data | 4,901.89 | 0.09 |
/ltmp | 1,367.19 | 0.12 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 1.22 | 0.04 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)