aFJR実用化促進事業
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JA2180
利用分野: 航空技術
- 責任者: 西澤敏雄, 航空技術部門推進技術研究ユニット
- 問い合せ先: 榎本 俊治(enomoto.shunji@jaxa.jp)
- メンバ: 榎本 俊治, 石井達哉(JAXA), 森田徹, 藤秀実(金沢工大)
事業概要
ジェットエンジンの環境適合性を向上するため, ジェットエンジン騒音を低減する吸音ライナ技術開発を行っている. 吸音ライナによって音波が吸収されるシミュレーションを通じて, 吸音ライナの特性を理解し, より吸音率が高い形状を考案することを目的としている.
参照URL
「aFJR(高効率軽量ファン・タービン技術実証)プロジェクト | 航空環境技術の研究開発プログラム(ECAT) | JAXA航空技術部門」参照.
JSS2利用の理由
LES計算のため, 計算量とストレージ使用量が多く, SORA-PP, TPP, FSの利用が必要だった.
今年度の成果
6次精度コンパクトスキームを用いた音波の減衰が少ない解析コードであるUPACS-LESを用いて, 2次元かつ層流を仮定したグレージング流れのもとで, 吸音ライナの吸音特性の取得を試みた. 図1は吸音ライナの孔の上を音波が通過している様子を示している. 図2, 図3は, 吸音ライナの孔の中及びその周辺の流速(粒子速度)である. 図2はグレージング流れが無い場合であり, 音によって孔の中を流れが往復し, 孔の角の部分で剪断が強い様子が分かる. 図3はグレージング流れが有る場合であり, 先ず, グレージング流れによって定常的な渦が発生し, 音は, その渦を変形させていて, グレージング流れの無い場合と比べて, 吸音のメカニズムがかなり異なる様子が見受けられる.
図1(ビデオ): グレージング流れのある吸音ライナの音圧
図2(ビデオ): グレージングの無い吸音ライナの孔の内部の粒子速度
図3(ビデオ): グレージングの有る吸音ライナの孔の内部の粒子速度
成果の公表
-査読なし論文
1) 榎本 俊治, 石井 達哉(JAXA), 赤見坂 祐輔, 藤 秀 実(金沢工大), “グレージング流れを伴う吸音ライナの数値解析”, 第50 回流体力学講演会/第36 回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム論文集, JAXA-SP-18-005
2) 森田 徹, 赤見坂 祐輔, 藤 秀実 (金沢工業大学), 榎本 俊治, 石井 達哉, 長井 健一郎 (宇宙航空研究開発機構), グレージング流中での流れと吸音ライナ開口率が吸音率へ与える影響, 第59回航空原動機・宇宙推進講演会, JSASS-2019-0093
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 24
- 1ケースあたりの経過時間: 40 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.09
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
SORA-PP | 51,971.67 | 0.42 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 60,741.52 | 4.44 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 11.05 | 0.01 |
/data | 3,329.19 | 0.06 |
/ltmp | 665.84 | 0.06 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 9.53 | 0.33 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)