構造・複合材技術に関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JA1601
利用分野: 航空技術
- 責任者: 中村俊哉, 航空技術部門構造・複合材技術研究ユニット
- 問い合せ先: 青木 雄一郎(aoki.yuichiro@jaxa.jp)
- メンバ: 吉村 彰記, 蝦名 諒哉, 青木 雄一郎, 笠原 利行
事業概要
複合材料とは,異なる特性の材料を複合して1つの材料として使用しているもので,炭素繊維やSiC(炭化ケイ素)繊維などを用いて繊維強化した材料として使用することで,従来の金属材料に比べ,軽量で高強度な構造を創出することが可能となり,航空機や宇宙機器の高性能化に貢献できる.本事業では,複合材料の弱点克服や破壊メカニズム等,未知の部分を解明し,材料の性能向上や設計技術への応用を目指した研究を行っている.
参照URL
「構造・複合材料技術 | 基礎的・基盤的技術の研究(Science & Basic Tech.) | JAXA航空技術部門」参照.
JSS2利用の理由
CFRPの安全性を証明するために,衝撃試験の数値解析を実施した.詳細な損傷解析を行うためにはCFRPを一層ごとにモデル化する必要があるが,このためには非常に多くの自由度を必要とする.このため,JSS2スーパーコンピュータを使用して,このような高コストな計算を実行することとした.
今年度の成果
CFRPの低速衝撃試験のシミュレーションについて, マルチスケール解析手法を用いて精度を向上することに成功した. 低速衝撃試験はASTM D7136規格に基づいて実施され, 損傷を非破壊検査にて定量化した. シミュレーションはABAQUS/Explicit 2016を用いてJSS2上で実行された. マクロモデルにおいて, CFRPは一層一要素の連続体シェル要素を用いてモデル化され, 昨年度までにJAXAで開発を行ったECDMモデルを用いて損傷進展を表現した(図1). ミクロスケールモデルはソリッド要素と結合力要素(Cohesive zone model)で構成され(図2, 図3), マクロスケールモデルによって得られたひずみをミクロスケールモデルに適用することにより, より微視的で詳細な損傷シミュレーションを行った. シミュレーションで発生した損傷をX線CTによる損傷可視化結果と比較したものを図4に示す.
成果の公表
-査読付き論文
Masaya Ebina, Akinori Yoshimura, Kenichi Sakaue, Anthony M. Waas. “High fidelity simulation of low velocity impact behavior of CFRP laminate”, Composites Part A, 113, 166-179, 2018
-口頭発表
Masaya Ebina, Akinori Yoshimura, Kenichi Sakaue, Yuichiro Aoki, ‘Low Velocity Impact Simulation of CFRP Laminates Considering Microscopic Damage Interaction’, 33rd American Society for Composites Technical Conference, Sep. 2018, Seattle, WA, USA
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 1 – 120
- 1ケースあたりの経過時間: 20 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.20
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
SORA-PP | 282,092.60 | 2.25 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 36.56 | 0.04 |
/data | 49,193.72 | 0.87 |
/ltmp | 7,486.98 | 0.64 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)