高レイノルズ数乱流噴流における微細スケールスカラー混合過程の解明
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2017年4月~2018年3月)
報告書番号: R17JCMP02
利用分野: 競争的資金
- 責任者: 青山剛史 航空技術部門数値解析技術研究ユニット
- 問い合せ先: 松山新吾 smatsu@chofu.jaxa.jp
- メンバ: 松山新吾
事業概要
本研究では,燃料と空気が混合する過程において非常に小さなサイズの乱流が果たす役割を明らかにするため,スーパーコンピュータを利用した大規模な直接乱流シミュレーションを実施する.乱流の乱れの度合いを支配するパラメータであるレイノルズ数を変化させてシミュレーションを実施し,得られた詳細データを分析することで微細な乱流の役割を明らかにすることを目指す.
参照URL
「KAKEN — 研究課題をさがす | 高レイノルズ数乱流噴流における微細スケールスカラー混合過程の解明 (KAKENHI-PROJECT-15K05817)」参照.
JSS2利用の理由
マクロな混合過程における微細スケール乱流の役割を明らかにするためには,高レイノルズ数条件について DNS による統計データが必要となる.本研究で目指すような Re > 104 以上の高レイノルズ数条件で DNS を実施するには10億点オーダーの格子点数が必要であるため,スパコン上でのみ実行が可能な大規模解析になる.したがって,本研究の遂行にはスパコンが必須である.
今年度の成果
Re = 3×103,104, および 3×104 での DNS 解析を空間9次精度で1億~13億点の計算格子により実施した.過去の実験データとの比較およびコルモゴロフスケールの評価により,レイノルズ数への依存性が正しく再現されていることを確認した(図1). また,DNS データをフィルタリングすることで微細スケールによる乱流混合への寄与を調査した結果,Re = 3×103 で コルモゴロフスケールの 60 倍, Re = 104 では 100 倍 以下のスケールの乱流は寄与が小さいことが明らかになった.
図2(ビデオ): Re = 3×103 でのスカラー散逸率分布(z = 0)のムービー.
図3(ビデオ): Re = 104 でのスカラー散逸率分布(z = 0)のムービー.
図4(ビデオ): Re = 3×104 でのスカラー散逸率分布(z = 0)のムービー.
成果の公表
■ 査読なし論文
1) 松山 新吾,”スカラー混合を伴う平面乱流噴流の Direct Numerical Simulation”,日本航空宇宙学会 第48期定時社員総会および年会講演会 講演論文集,2C15,2017.
2) 松山 新吾,”スカラー混合を伴う平面乱流噴流のDNS”,日本流体力学会 年会2017 講演論文集,2017.
■ 口頭発表
1) 松山 新吾,”スカラー混合を伴う平面乱流噴流の Direct Numerical Simulation”,日本航空宇宙学会 第48期定時社員総会および年会講演会,2017.
2) 松山 新吾,”スカラー混合を伴う平面乱流噴流のDNS”,日本流体力学会 年会2017,2017.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 286 – 924
- 1ケースあたりの経過時間: 1,000.00 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 2.67
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 22,602,550.63 | 3.00 |
SORA-PP | 0.00 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 598.94 | 0.41 |
/data | 2,849.03 | 0.05 |
/ltmp | 488.28 | 0.04 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2017年4月~2018年3月)