静粛超音速機技術の研究開発(職員・派遣)
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2017年4月~2018年3月)
報告書番号: R17JA3800
利用分野: 航空技術
- 責任者: 牧野好和 航空技術部門次世代航空イノベーションハブ
- 問い合せ先: 牧野好和 makino.yoshikazu@jaxa.jp
- メンバ: 赤塚純一, 徳川直子, 石川敬掲, 上田良稲, 郭東潤, 大平啓介, 上野篤史, 近藤賢, 湯原達規
事業概要
現在の航空機は音よりも遅く,マッハ0.8程度で飛行しています.日本から欧米まではまだまだ遠く,飛行時間は12時間以上かかります.でも,もし音よりも速く,例えば倍の速度で飛行できれば,飛行時間は半分になり,日本から欧米への飛行時間は6時間ほどになります.移動時間が短縮されれば,ビジネスや観光の面から経済活動が活発になったり,災害時など緊急時の対応が迅速になったりして,より安心で豊かな社会になることが期待できます.更に飛行時間が6時間以内であれば,エコノミークラス症候群の発症が抑えられることから,誰でも今より気軽で楽な旅行ができるようになります.このような高速移動を可能にする航空機は,音よりも速く飛ぶことから超音速旅客機と呼ばれます.
このように超音速旅客機の実現が期待されているにもかかわらず,2003(平成15)年のコンコルドの退役以降,その後を継ぐ超音速旅客機は現れていません.コンコルドは燃費が悪いことにより運航コストが非常に高いことが問題でした.また超音速飛行すると大きなソニックブームが発生することから,陸上を超音速飛行することができず,路線が限られてしまったことも,ビジネスとして成功しなかった一因でした.JAXAでは2002(平成14)年から2005(平成17)年にかけてNEXST-1(小型超音速実験機)飛行実験により,空気抵抗を下げて燃費を良くする技術を実証しました.また,2011(平成23)年からD-SENDプロジェクトにより,ソニックブームが小さくなる機体設計技術のコンセプトを実証しようとしています.このように,超音速旅客機が抱える課題を解決する鍵技術を取得し,JAXA独自の「静かな超音速旅客機」の機体概念を提示します.
参照URL
「D-SENDプロジェクト/静粛超音速機技術 | 航空新分野創造プログラム(Sky Frontier) | JAXA航空技術部門」参照.
JSS2利用の理由
超音速機統合設計技術の研究開発においては,超音速機が民間機として成立することを示すため小型超音速旅客機のシステム設計研究を実施しており,その空力性能や騒音特性を把握するのにスパコンを活用している.
今年度の成果
静粛超音速機統合設計技術の研究開発事業で進められている低抵抗技術研究開発において,巡航性能と低速性能の両立を目的とした,主翼平面形検討を実施した. 後退角とアスペクト比を変数として複数の主翼平面形のパラメトリックスタディを行った.
成果の公表
■ 口頭発表
1)湯原達規,上野篤史,牧野好和,”小型超音速旅客機の主翼平面形に関する概念検討”, 日本航空宇宙学会,宇宙航空研究開発機構,第49回流体力学講演会/第35回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム,1A06,国立オリンピック記念青少年総合センター,2017年6月29日
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 300
- 1ケースあたりの経過時間: 1.00 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.89
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 5,616,847.60 | 0.74 |
SORA-PP | 315,231.36 | 3.95 |
SORA-LM | 5,570.59 | 2.87 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 366.40 | 0.25 |
/data | 12,584.53 | 0.23 |
/ltmp | 8,203.13 | 0.62 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 3.05 | 0.13 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2017年4月~2018年3月)