水星の材料物質の起源,熱史,および磁場生成
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0043
- 責任者: 倉本 圭(北海道大学 理学研究院)
- 問い合わせ先: 佐々木 洋平(uwabami@math.kyoto-u.ac.jp)
- メンバ: 佐々木洋平,木村淳,倉本圭
- 利用分類: 宇宙分野(宇宙理学)
概要
水星の内部構造と固有磁場生成についての数値計算を系統的に行ない,観測から得られるデータと比較検討することで,現在の水星の内部状態と進化について明かにする.
目的
マントルと核の組成が地球と異なる可能性を考慮した水星の熱史と金属核の進化および固有磁場生成の数値的解析を行い,水星の固有磁場の起源について水星の物質科学的特徴とそれがもたらす45 億年間の熱史へのインパクトに密接に関連づけて検討する.Messenger から得られた知見と打ち上げが予定されているBepi Colomboの得る水星の磁場,表面組成,重力等の新しい探査データの統合的な解釈に寄与する.
目標
推定組成から予想されるマントル粘性率と核の融解特性を与えた水星の熱史および核の冷却史の数値計算を行い,現在のマントルと核の物理状態をその組成依存性を把握しつつ明らかにする. また, 熱史計算から得られる核の構造と熱・浮力フラックスを与えた水星核ダイナモの評価を行う.熱・浮力フラックスと液体核の厚さが磁場の強度と形にどのように影響するかを明らかにすることによって,新しい磁場,表面組成,重力等の種々探査データを有機的に結合させ,水星内部の物理状態と45 億年の熱史を制約することに寄与する.
参照URL
なし
スパコンの用途
回転球殻中のマントル対流および核内の対流によるダイナモ作用の系統立った大規模な数値実験,およびこれら数値実験より得られるデータの解析に活用する.
スパコンの必要性
回転球殻中のマントル対流およびダイナモ作用は強非線形系であり,その様相の理解のためには系統立った大規模数値実験が必要となる.また,これら数値実験より得られるデータの解析にも計算力が必要となる.
今年度の成果
昨年度に引き続き球殻磁気流体の数値モデルの並列化および性能向上を行なった.大規模計算を効率良く遂行するために,並列計算用のアルゴリズムを見直しつつプログラム群に対して全面的な改変を行なった.結果として並列化効率は大幅に改善されたものの,基盤部分の修正によって全体のプログラムの改変が必要となったため,科学的に意義のある計算を期限内に遂行することは困難であった.
成果の公表
査読付論文
1) Takehiro, S-I., Sasaki, Y., 2017: Penetration of steady fluid motions into an outer stable layer excited by MHD thermal convection in rotating spherical shells, Physics of the Earth and Planetary Interiors, doi: 10.1016/j.pepi.2017.03.001
2) Kamata, S., Kimura, J., Matsumoto, K., Nimmo, F., Kuramoto, K., & Namiki, N. (2016). Tidal deformation of Ganymede: Sensitivity of Love numbers on the interior structure. Journal of Geophysical Research: Planets, 121, 1362-1375
口頭発表
1) 佐々木洋平, 竹広真一, 石渡正樹, 山田道夫 2016: 回転球殻内の非弾性熱対流の臨界モードに対する熱拡散係数の動径分布の影響, 2016年日本流体力学会年会
2) 竹広真一, 佐々木洋平 2016: 回転球殻中の磁気対流により引き起こされる平均帯状流の外側安定成層への貫入. 2016 年日本流体力学会年会
3) Sasaki, Y., Takehiro, S., Ishiwatari, M., Yamada, M., 2016: Critical mode of anelastic thermal convection in a rotating spherical shell depends on radial distribution of thermal diffusivity, SEDI The 15th Symposium, Nantes, France.
4) 2) Sasaki, Y., Takehiro, S., Ishiwatari, M., Yamada, M., 2016: Critical mode of anelastic thermal convection in a rotating spherical shell depends on radial distribution of thermal diffusivity, SEDI The 15th Symposium, Nantes, France.
5) 竹広真一, 佐々木洋平 2016: 回転球殻中の磁気対流により引き起こされる平均帯状流の外側安定成層への貫入. 2016 年日本流体力学会年会
計算情報
- 並列化手法: ハイブリッド並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: N/A
- プロセスあたりのスレッド数: N/A
- 使用ノード数: N/A
- 1ケースあたりの経過時間(時間): N/A
- 実行ケース数: N/A
利用量
総仮想利用経費(円): 58,467
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 133.76 | 220 |
SORA-PP | 0.00 | 0 |
SORA-LM | 0.00 | 0 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 29.36 | 276 |
/data | 286.10 | 2,698 |
/ltmp | 5,859.38 | 55,271 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)