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温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)運用事業

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0096

  • 責任者: 中島 正勝(第一宇宙技術部門 GOSAT-2プロジェクトチーム)
  • 問い合わせ先: 上田 陽子(ueda.yoko@jaxa.jp)
  • メンバ: 橋本真喜子,吉田純,木幡賢二,末武秀己,田中永謹,篠塚勇司,今中誠,山本佳史,櫻井耕司,小友晶子,加藤雅彦,上田陽子,山崎朋朗,井口茂,宮原昌克,後藤貴志,早坂英俊,昆野朝陽,玉川崇人,清水淳,坂良太郎,菅原衛,徳永杏子
  • 利用分類: 宇宙分野(衛星運用)

概要

GOSATはミッション期間の5年を超えて観測を継続し,適正に校正された高スペクトル分解能データを供給しています.全体的な機能や性能は良好で,SNRとスペクトル分解能に大きな劣化は観察されていません.衛星上でいくつかの異常が見つかりましたが,その後は安定しています.打ち上げ以降,これらの異常に対応するためにレベル1アルゴリズムが更新されています.

目的

地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを宇宙から測定します.これにより,地球温暖化や気候変動の科学的な理解を深めて,温暖化対策に貢献することを目的にしています.

目標

① 温室効果ガスの全球分布を観測します

② 二酸化炭素の発生源と吸収源を亜大陸規模で推定し,京都議定書で要求される温室効果ガスの削減を検証します

③ 将来のミッションのために地球観測技術を進歩させます

参照URL

HOME – GOSAT – JAXA」参照。

スパコンの用途

GOSAT の観測データを処理するミッション運用系システムを構成するシステムとして,処理アルゴリズム改訂時に,JSS2で過去に取得した全観測データの再処理を実施します.さらに,処理したプロダクトの校正時に,JSS2上で校正処理を実施します.また,再処理に必要な全データの遠隔地保存先として利用します.

スパコンの必要性

GOSATプロダクトの再処理対象は過去に取得した全観測データであり,標準処理よりもより多くの計算機リソース(コア,メモリ,ストレージ等)を必要とします.再処理の期間を短縮し,再処理後のプロダクトをより早くユーザに提供するためにJSS2の利用が必要です.

今年度の成果

(1) GOSAT TANSO-FTSレベル1プロダクトの再処理

GOSATのTANSO-FTS プロダクトのL1プログラムのバージョンアップを行い,過去7年分の観測データのL1プロダクト作成のための再処理にスパコンを利用した.また,さらに次のバージョンアップのための評価用サンプルL1プログラムを作成し,こちらについても過去7年分の観測データの再処理に利用した.従来筑波のシステムで1年間以上かかっていたが,スパコンを利用することにより11日間で完了することができた.また,再処理したデータのユーザ提供にスパコンを利用した.調布から筑波に伝送し,筑波のユーザ提供用サーバにアップロードするのに1カ月かかっていたが,スパコンのストレージから直接ユーザにダウンロードしてもらうことにより,再処理後1週間程度で速やかにデータ提供を開始できた.さらに次のバージョンアップのための評価用サンプルを速やかに研究者に配布することで,プロダクトの精度等について速やかに評価することができた.

(2) GOSAT TANSO-CAIデータの校正検証

TANSO-CAI 観測データからセンサ感度変化を評価し,輝度校正係数を決定するための解析処理を行い,該当期間のバンド1の校正係数を決定した.バンド1はエアロゾルの粒径分布等の重要な情報を含むため,バンド2およびバンド3の校正後の輝度に併せて,バンド1の輝度を最適化する.バンド2およびバンド3の輝度校正係数が3候補あるため,3条件でバンド1の輝度校正係数を計算し,決定することができた.

期間:2009年6月~2017年2月(4か月おきに,23か月分)

(3) GOSAT TANSO-FTS熱赤外データ研究処理

TANSO-FTS熱赤外(TIR)データを用いたレベル2高次アルゴリズム改良に向け,TIRレベル2処理プログラムのJSS-2への移植,およびTIRレベル2プロダクト再処理を行い,処理速度が判明した.

① TIRレベル2プログラムの移植

下記の2つのプログラムについてJSS-2に移植して,問題なく動作することが確認できた.

(a) 二酸化炭素(CO2),およびメタン(CH4)の高度情報

(b) 雲判定,および地表面温度・放射率情報

② TIRレベル2プロダクト再処理

TANSO-FTSレベル1B(V203.203)を用いてレベル2再処理(2010年1年分)を行った.現在公開されているV161.160を用いたTIRレベル2プロダクトと比較した.

③ JSS-2利用によるTIRレベル2処理性能

1年分のレベル2処理から,JSS-2(180ノード)を使用すると,EORC所有のGOSAT利用研究設備(40ノード)に比べて(a)約6倍,(b)約10倍の処理性能があることがわかった.

Annual Reoprt Figures for 2016

図.1:GOSAT 再処理に必要な期間 (従来システムを利用した場合 / JSS利用した場合)

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図. 2.:GOSAT CAIセンサ 処理フロー (上部) および ラジオメトリック校正フロー(下部)

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図. 3:複数衛星の相互校正により求めたCAI ラジオメトリック校正係数

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図. 4:GOSATのFTSセンサのTIRデータから求めたCO2およびCH4プロファイル,2バージョン(V161とV203)のL1Bプロダクトを利用,バージョン間の差分も表示,観測地は2010年のロサンゼルス周辺

 

Annual Reoprt Figures for 2016

表 1.GOSAT TIRデータのL2プロダクト作成処理にかかる時間

 

成果の公表

Web上に研究成果が掲載されている場合のURL

1) https://data2.gosat.nies.go.jp/doc/documents/ReleaseNote_CAIL1B_V02.00_ja.pdf

TANSO-CAI L1B(V02.00)データリリース及びそれに関連するプロダクトの更新について

(NIES/GOSAT プロジェクト) 2016年12月1日

計算情報

  • 並列化手法: 非並列
  • プロセス並列手法: 非該当
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 180
  • プロセスあたりのスレッド数: 1
  • 使用ノード数: 15, 30
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 0.0167, 0.1333
  • 実行ケース数: 9

利用量

 

総仮想利用経費(円): 10,337,372

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 0.34 0
SORA-PP 638,408.18 5,450,729
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 291,752.75 4,301,894

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 1,213.62 11,448
/data 2,733.87 25,788
/ltmp 55,989.61 528,151

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 6.27 19,360

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)