サンプルリターンカプセルの研究開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0118
- 責任者: 前島 弘則(宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系)
- 問い合わせ先: 山田 和彦(yamada.kazuhiko@jaxa.jp)
- メンバ: 山田和彦,比護悠介
- 利用分類: 宇宙分野(月・惑星,宇宙機,宇宙工学,宇宙科学)
概要
将来の惑星探査では,日本が「はやぶさ」で世界に先駆けて実現した,サンプルリターンミッションがその主流になると考えられている.ここでは,その実施に必須であるサンプルリターンカプセル技術に関して,「はやぶさ」のヘリテージを継承しつつ,さらに発展させていく活動を行う.ここで,得られた技術は,サンプルリターンカプセルの高性能化につながり,自在で魅力的なサンプルリターンミッションを実現することにつながる.
目的
サンプルリターンミッションは,将来の太陽系探査の軸となると考えられている.その最終フェーズで用いられるサンプルリターンカプセルの技術の成熟は,その継続的な発展において必須である.大気圏突入時や緩降下時のサンプルリターンカプセル周りの流体現象を理解することで,次世代のサンプルリターンカプセルの開発に貢献することが目的である.
目標
サンプルリターンカプセルの流体現象に関連する課題としてあげられる以下の課題に対して,数値解析を用いて理解することで,将来のサンプルリターンカプセルの設計に反映することが目標である.その課題の例としては,①パラシュート放出時の後流解析,②パラシュートカバーの放出後の挙動理解,③遷音速流中でのカプセルの空力不安定挙動の理解,④大気圏突入時の空力加熱環境の予測などがあげられる.
参照URL
なし
スパコンの用途
スパコンを用いてサンプルリターンカプセルの研究開発に関連した様々な流体解析を実施する.サンプルリターンカプセルの開発に関連する流体現象を理解し,将来のサンプルリターンカプセルの設計に反映する.
スパコンの必要性
サンプルリターンカプセル技術に関連する流体現象は,特別な環境であることが多いので,再現実験が難しい場合が多い.また,流体解析は大規模になるため,スーパーコンピュータが必要である.スパコンを利用した数値解析と実験を組み合わせて,現象を理解することが必須である.
今年度の成果
今年度の活動は,最初のステップとして,パラシュート放出時のカプセル後流解析を実施した.「はやぶさ」カプセルを例にして,特に乱流モデルの影響に注目して計算手法の妥当性の検証を行った.その結果より,Baldwin-Lomaxモデルを用いることにより,後流領域の非定常な流れ場の様子が比較的よく再現できることがわかった.
成果の公表
なし
計算情報
- 並列化手法: プロセス並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 64
- プロセスあたりのスレッド数: 1
- 使用ノード数: 2
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 20
- 実行ケース数: 4
利用量
総仮想利用経費(円): 30,536
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 12,992.23 | 21,368 |
SORA-PP | 0.00 | 0 |
SORA-LM | 0.00 | 0 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 9.54 | 42 |
/data | 95.37 | 424 |
/ltmp | 1,953.13 | 8,700 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)