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非線形フォースフリー磁場計算による「ひので」観測に基づく太陽コロナ磁場推定

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0117

  • 責任者: 藤本 正樹(宇宙科学研究所 太陽系科学研究系)
  • 問い合わせ先: 清水 敏文(shimizu.toshifumi@jaxa.jp)
  • メンバ: 川畑佑典,伴場由美,清水敏文,長谷川隆祥,土井崇史
  • 利用分類: 宇宙分野(宇宙科学)

概要

太陽系最大の爆発現象である太陽フレアの発現機構を理解することを目的とする.太陽観測衛星「ひので」で観測された太陽表面磁場を用いて3次元の磁気流体力学計算を行うことで,上空のコロナにおける3次元磁場構造を推定する.推定された3次元磁場構造とフレア発生の関係を探る.

目的

太陽大気における爆発現象である太陽フレアがどのような磁場構造でどのような機構で発現するかを探る.太陽観測衛星「ひので」が取得している世界で最も高解像度で高精度なベクトル磁場マップを株境界条件として,フォースフリーを仮定して上空のコロナの磁場構造を推定する.

目標

太陽観測衛星「ひので」で観測された太陽フレアが発生した前後の太陽表面磁場を用いてフォースフリー磁場計算を行い,フレア発生におけるコロナ磁場および発現機構に関する新たな知見を得る.

参照URL

ひのでプロジェクトのホームページ:TOP PAGE」参照。

スパコンの用途

スパコンの大規模計算環境を利用して太陽観測衛星「ひので」の高空間分解能の磁場を用いた3次元の磁気流体力学計算によるフォースフリー磁場モデリングを行う.

スパコンの必要性

3次元の磁気流体力学計算を用いて,3次元磁場の緩和を行うため,多くの計算資源が必要となる.

今年度の成果

太陽観測衛星「ひので」によって得られた太陽表面磁場のデータを用いて3次元の磁気流体計算を行いコロナの3次元磁場を導出した.その3次元磁場を用いてフレアに必要なエネルギーの空間分布の時間発展を調べた.図1はフレアを起こした活動領域のエネルギーを太陽面鉛直方向に平均した空間分布である.フレア発生の10時間前にフレアが起こるのに十分なエネルギーが局所的な領域に蓄積されていたことを明らかにした(黄枠).

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.1:ある活動領域の磁気自由エネルギー空間分布の時間変化.黄色枠で示す領域でエネルギー増加を見ることができる.

 

成果の公表

口頭発表

1) Shimizu, T. ‘Recent progress in understanding solar flares and activities with Hinode observations’ (招待講演), 2015 ISEE workshop ‘International GEMSIS and ASINACTR-G2602 Workshop: Future Perspectives of Researches in Space Physics’, 22-25 March 2016, Nagoya University, Nagoya.

2) Shimizu, T. ‘Magnetic twist in solar coronal magnetic fields and fast reconnection,’ (招待講演) US-Japan Workshop on Magnetic Reconnection, 7-11 March 2016, Napa, USA.

3) Shimizu, T. ‘Hinode in PSTEP program,’ Hinode seminar, 22 June 2016, ISAS, Sagamihara, Japan.

4) 川畑佑典, 井上諭, 清水敏文「非線形フォースフリー磁場外挿による4 重極フレアの3 次元磁場構造解析」, M37a, 日本天文学会2016年春季年会,2016年3月14-17日,首都大学東京,八王子

5) 清水敏文, 井上諭「Xクラスフレア前後でのコロナ磁場のねじれ変化とエネルギー解放」, M38a, 日本天文学会2016年春季年会,2016年3月14-17日,首都大学東京,八王子

6) 清水敏文「10年を迎えた「ひので」:最新研究成果と今後の研究展開」,S4-005, 第17回宇宙科学シンポジウム,2017年1月5-6日,宇宙科学研究所,相模原

計算情報

  • 並列化手法: プロセス並列
  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 144
  • プロセスあたりのスレッド数: 1
  • 使用ノード数: 12
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 5
  • 実行ケース数: 9

利用量

 

総仮想利用経費(円): 535,452

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 0.16 0
SORA-PP 1,558.03 13,302
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 29,665.06 437,411

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 43.46 397
/data 430.76 3,940
/ltmp 8,789.07 80,399

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 0.00 0

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)