燃焼器解析に関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0102
- 責任者: 松尾 裕一(航空技術部門 数値解析技術研究ユニット)
- 問い合わせ先: 山本 姫子(himeko@toki.waseda.jp)
- メンバ: 山本姫子
- 利用分類: 基礎分野(数値解析)
概要
環境適合性の高いジェットエンジン燃焼器開発に向けて,その特徴となる拡散燃焼領域と予混合領域からなる複合燃焼場を再現すると共に,エンジン耐久性低下の原因となる燃焼振動に代表される圧力伝播を捉えることのできる実用的な計算コストを有する数値計算コードの開発に取り組む.また,本計算コードの妥当性を評価するため,水素噴流浮き上がり火炎を対象とした検証計算を行う.
目的
ステージング型燃焼器を始めとする次世代型低NOx燃焼器の開発に向けて,複合燃焼場と圧力伝播の双方を再現可能な計算コードの開発を行い,航空エンジン開発における環境適合性向上のブレークスルーに貢献することを目的とする.
目標
複合燃焼場と圧力伝播の双方を再現可能な実用性の高い計算コードを開発するとともに,実燃焼器で問題となる燃焼振動の主要メカニズムを,弱旋回燃焼器を対象とした数値計算により明らかにする.
参照URL
なし
スパコンの用途
圧縮性流体解析ソルバFaSTAR(JAXA/Fast Aerodynamic routine)をベースに開発した燃焼計算コードを用い,噴流浮き上がり火炎を対象としたLES解析を行った.
スパコンの必要性
燃焼計算コードの開発・検証計算に取り組む上で,スパコンの利用が必要となる.
今年度の成果
圧縮性流体解析ソルバFaSTARを基盤として,Flamelet Approach・G方程式をベースとした燃焼計算コードの開発を行い,水素噴流浮き上がり火炎を対象とした検証計算を行った.Flamelet Approachのみを用いた場合の結果において,温度分布など実験と良い一致が見られた(Fig.1).また,G値による補正を行った場合の結果において,乱流燃焼モデルに対する火炎の付着/浮き上がりを確認することができた(Fig.2).
成果の公表
査読なし論文
1) 山本姫子,溝渕泰寛,佐藤哲也,’ ジェットエンジン燃焼器における燃料初期粒径が排出物特性に与える影響に関する数値解析’,JAXAsupecial Publication,2016.12
口頭発表
1) 山本姫子,溝渕泰寛,佐藤哲也,’ ジェットエンジン燃焼器における燃料初期粒径が排出物特性に与える影響に関する数値解析’, 第48回流体力学講演会/第34回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム,2016.7
2) 山本姫子,溝渕泰寛,佐藤哲也,’ 部分予混合燃焼器の環境適合性向上に向けた数値的研究’,航空宇宙流体科学サマースクール,2016.9
3) 山本姫子,溝渕泰寛,豊永塁,佐藤哲也,’圧縮性流体解析ソルバFaSTARを用いた噴流浮き上がり火炎の数値解析’,第57回航空原動機・宇宙推進講演会,2017.3
計算情報
- 並列化手法: プロセス並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 512
- プロセスあたりのスレッド数: 1
- 使用ノード数: 16
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 48
- 実行ケース数: 4
利用量
総仮想利用経費(円): 3,134,498
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 1,784,623.18 | 2,924,293 |
SORA-PP | 356.56 | 3,044 |
SORA-LM | 0.00 | 0 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 476.84 | 4,498 |
/data | 19,531.26 | 184,238 |
/ltmp | 1,953.13 | 18,423 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)