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シミュレーションによる安全評価技術

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0085

  • 責任者: 嶋 英志(研究開発部門 第三研究ユニット)
  • 問い合わせ先: 藤本 圭一郎(fujimoto.keiichiro@jaxa.jp)
  • メンバ: 雨川洋章, 南部太介, 出浦智之, 伊藤孝行, 根岸秀世, 大西陽一, 西元美希, 大門優, 石原洋史, アシュビン・ホサンガディ, ジェレミー・シップマン, 猪野正輝, ジャイ・シン・サカデブ, 深澤修, 大野真司, アンドレア・ザンボン, 中島健賀, 秋村友香, 雨宮孝, 藤原大典, 谷洋海, 飯村拓哉, 藤本圭一郎, 王丸哲文, 小谷秋子, 福田太郎, 松本万有, 外山雅士, 井手優紀, 須藤翔太, 岸孝明
  • 利用分類: 宇宙分野(ロケット,宇宙輸送)

概要

先導研究「非デブリ化」の一環としてロケット上段や衛星のリエントリ安全性の溶融性評価や経験式モデルの検証データ取得のために,数値シミュレーションによる広範囲の気流条件下での空力特性及び熱流束評価をおこなう.また,開発してきたターンアラウンド時間が短い流体シミュレーションを活用し,HTV搭載型小型回収カプセルや再使用型ロケットの空力・熱流束評価に貢献する.

目的

高忠実な数値シミュレーション技術に基づく空力・熱流束・伝熱・軌道解析の連成解析により,新しいロケット上段や衛星のミッション終了後のリエントリ安全評価やロケット上昇時の飛行安全評価法を獲得し,スペースデブリ問題などの宇宙開発における安全性の確保と性能の両立を実現させることを目的とする.

目標

高忠実な数値シミュレーションの解析ターンアラウンド時間を半減させ安全性評価において実用化させることで,新しい安全性評価法を構築するとともに,安全制約の緩和を実現することに貢献する.

参照URL

http://stage.tksc.jaxa.jp/jedi/index.html 参照。

スパコンの用途

数百ケースレベルの広範囲な気流条件下での空力・熱流束解析を実施する.

スパコンの必要性

定量的な安全性評価では広範囲なオフノミナル条件での複雑な物理現象を高精度に解析することが求められ,かつ安全性評価法やその結果は重要な機微情報であり,ハイスペックな独自のスーパーコンピュータが必須である.

今年度の成果

従来のリエントリ安全評価法における空力・熱流束モデルは保守的な仮定に基づき構成されており,ロケットや衛星の複雑形状を球,円柱等のシンプルな形状の組合せで扱っている.従来法はワーストケースを仮定していることから安全側の評価結果を出すが,今後の国際的な安全要求の厳格化に対応するためには数値シミュレーションによる高精度なリエントリ安全評価法を開発し,溶融性を設計段階で実現する安全性設計が不可欠である.本研究では,先導研究「非デブリ化」の一環としてロケット上段や推進薬タンクについての溶融及び破壊シナリオの詳細評価と,安全性評価法の確立には欠かせない経験式モデルの検証のためにCFDによる空力特性及び熱流束の評価を行った.ロケット上段及び推進薬タンクに対する空力・熱流束の評価結果をFig.1に示す.

近年JAXAではHTV搭載型小型回収カプセルの技術実証プロジェクトや,先導研究における再使用型ロケットの研究など,次世代の宇宙輸送機や往還機に関する研究開発が盛んに行われている.

そのような研究開発では,広範囲にわたる気流条件での空力・熱流束評価が必須であり,特に流体解析は計算コストが高い代表例である.従って,本研究ではリエントリ安全性評価向けに開発してきた解析ターンアラウンド時間の短いCFDツール(LS-FLOW)を用いた設計検討支援を行っている.

HTV搭載型小型回収カプセルについては,RCSジェットと主流との干渉による局所熱流束及び空力特性変化,パラシュート展開前のカプセルシェルの分離挙動,及びアンテナ・アビオニクス機器の低温空気による冷却効果の評価に対しCFD解析を実施し,設計の前提条件データを取得した.いずれも広範囲の気流条件下での評価が不可欠であり数十~百ケースのパラメトリック解析を行った.

また,再使用型ロケットの実験機の空力設計をおこなうために必要な様々な形状に対する広範囲の気流条件下での空力特性評価をおこなった.

開発してきたCFDツールの特徴である十分な精度を持ちつつ高速な流体解析により,こうした大規模なパラメトリック解析を実現させることができた.

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.1:ロケット上段及び推進薬タンクのリエントリ時の空力・熱流束評価

 

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.2:HTV搭載型小型回収カプセルの熱流束・空力特性へのRCSジェット干渉評価

 

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.3:HTV搭載型小型回収カプセルのTPSシェル分離の確率論的評価

 

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.4:HTV搭載型小型回収カプセルの空気による冷却効果(熱設計成立性検討)

 

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.5:再使用型ロケットの空力特性評価と空力デバイスの設計検討

 

成果の公表

査読付論文

1) Keiichiro Fujimoto, Hiroumi Tani, Hideyo Negishi, Yasuhiro Saito, Nobuyuki Iizuka, Akira Kato and Koichi Okita, 'Uncertainty quantification strategy for destructive reentry safety analysis,' Stardust Final Conference - Advances in Asteroids and Space Debris Engineering and Science, Springer (to be published).

査読なし論文

1) Fujimoto K., Taisuke N., Negishi H. et. al., 'Validation of LS-FLOW for Reentry Capsule Unsteady Aerodynamic Analysis,' AIAA Paper 2017-1411, 2017.

2) Ryuta Hatakenaka, Kazuhiro Miyazaki, Yasuhide Watanabe et. al., 'Thermal Design of Small Sample-Return Capsule Integrated into HTV,' ICES 2017, 2017 (to be published).

3) Keiichiro F, Yasuhiro S, Ryuzo Set. al., 'Overview and Progress of Research on Space Debris in JAXA,' Stardust Final Conference on Asteroids and Space Debris, 2016.

4) Keichiro F, Hiroumi T, Hideyo Net. al., 'Update of Aerodynamics and Heat Flux Model for ORSAT-J,' 8th IAASS Conference, 2016.

計算情報

  • 並列化手法: プロセス並列
  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 512
  • プロセスあたりのスレッド数: 1
  • 使用ノード数: 16
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 120
  • 実行ケース数: 172

利用量

 

総仮想利用経費(円): 28,063,691

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 16,951,530.44 27,640,766
SORA-PP 738.81 6,307
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 4,011.43 59,148

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 387.91 3,659
/data 21,902.80 206,609
/ltmp 15,499.84 146,210

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 0.32 988

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)



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JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1