農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0069
- 責任者: 牧野 好和(航空技術部門 次世代航空イノベイションハブ)
- 問い合わせ先: 田辺 安忠(tan@chofu.jaxa.jp)
- メンバ: 青山剛史,田辺安忠,杉浦正彦,菅原瑛明,竹川国之,武田寿人,山本貴弘,後藤将吾
- 利用分類: 航空分野(運航)
概要
3機種のドローンについて,農薬散布粒子の動力学とドローンの胴体形状なども考慮に入れて高精度の流れ場の非定常解析を行い,横風のある条件も含め,地表における農薬の散布分布を予測した.飛行条件によっては,農薬散布ノズルの位置がロータからの後流の範囲内からずれてしまった場合,散布した粒子が空中に漂い,望ましい農薬散布結果が得られないことが分かった.従って,機体のロータのレイアウトに応じて散布する速度範囲を考慮し,農薬散布ノズルがロータ後流内に確実に入るようにノズルの位置を慎重に検討する必要がある.
目的
農林水産業ロボット技術活用推進事業費補助金を受け,マルチロータ式無人機の農薬散布の特性をJAXAが保有する回転翼機用のCFDコードであるrFlow3Dを使って数値シミュレーションし,いくつかの飛行速度や横風条件において,農薬液剤の散布分布を精密に把握することにより,運航基準の精度向上を図り,より高性能の散布装置の構造などについて検討する.
目標
ロータ数が4, 6, 8の3機種のマルチロータ機を対象に,飛行速度が15と20km/hrの2種類で,横風が0, 1, 3, 5m/sの条件下での農薬の散布分布をCFD解析でシミュレーションする.実際の散布データとの比較検証も実施する.さらに,農薬の散布ノズルの位置による散布パターンの比較も行い,適切な農薬散布ノズルの位置を助言する.
参照URL
なし
スパコンの用途
スパコンを利用した大規模・多ケース同時解析が本事業推進上必須であった.
スパコンの必要性
JAXAが保有するスパコンの利用は本事業受託の前提条件であり,実社会問題解決に結びつけることができた.
今年度の成果
Fig.1に今回シミュレーション対象の3機種のモデルを示す.機体の主な部分を考慮しているが,数値シミュレーションの効率も考慮し,細部とスキッドは省略している.また,Fig.2に3機種の機体からの農薬散布の粒子分布の様子を示す.図中の赤色は液剤の粒子を示している.
成果の公表
その他
1)「平成28年度農林水産業ロボット技術活用推進事業成果報告書」.今後公開の可能性あり.
計算情報
- 並列化手法: スレッド並列
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1
- プロセスあたりのスレッド数: 32,12
- 使用ノード数: 1
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 1440
- 実行ケース数: 50
利用量
総仮想利用経費(円): 2,948,637
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 1,095,493.08 | 1,801,812 |
SORA-PP | 109,125.44 | 931,712 |
SORA-LM | 0.00 | 0 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 5,367.36 | 19,267 |
/data | 45,071.30 | 161,796 |
/ltmp | 6,624.35 | 23,780 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 8.74 | 10,268 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)