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非構造高次精度流体ソルバーの安定化に関する研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0056

  • 責任者: 阿部 圭晃(東京工業大学工学院機械系)
  • 問い合わせ先: 阿部 圭晃(y.abe@imperial.ac.uk)
  • メンバ: 阿部圭晃
  • 利用分類: 基礎分野(数値解析,CFD)

概要

並列計算機を用いた,従来にない高い空間精度と複雑形状周りの流れ場への適用性を同時に実現するため,非構造格子を取り扱える流束再構築法と運動エネルギー保存のカップリングに基づく安定なソルバー構築の知見を得る.具体的には,数値実験として等方性乱流の超高次精度計算を行い,安定化のための人工的な数値粘性を過剰に投入する事なく,安定な計算を実現できるかどうかを確かめる.

目的

「航空宇宙機を含む,高レイノルズ数流れを対象とする流体機器の設計手法の革新を目指して「次世代の高性能並列計算機に適した流体の数値解析手法」の確立に向けた基礎的な知見獲得を目的とする」

目標

高並列計算機での高い計算効率の実現に向け,従来にない超高次精度の空間離散化を取り入れた安定な流体ソルバー構築(複雑形状の取り扱いが容易な流束再構築法と運動エネルギー保存に基づく安定化手法のカップリング)に向けた基礎的な知見の獲得を目標とする.

参照URL

なし

スパコンの用途

新たに考案した自乗量保存型の流束再構築法の非線形安定性を調べるため,極めて広い範囲の精度にわたって様々な条件下で等方性乱流の計算を行った.スパコンを活用する事により,小規模の計算機では行えない広いパラメータにわたる知見を短期間に得る事が出来た.

スパコンの必要性

本研究において採用する流束再構築法は,高並列計算機での計算効率が高い事を一つの特徴としている.本研究では基礎的な計算アルゴリズム構築の検証を主な目的としているが,このような計算ソルバー構築の段階からスパコンへの適用性を確認・検証しつつ進める必要がある.

今年度の成果

本研究の目標は,「計算安定な超高次精度の流束再構築法の確立に向けた知見の獲得」である.まず,従来の流束再構築法の枠組みに対し,非線形安定化手法の一つである自乗量保存スキームの適用を試みた.多項式展開に基づく議論により,「1.解の定義点をガウスロバット点に置く」「2.修正関数としてg2関数を用いる」という二つの条件を満たせば,局所的な自乗量保存を満足する事が分かった.この結果を用い,等方性乱流において広範囲にわたる精度検証と,数値粘性の有無の影響を調べた.

まず,図1には従来のFR法を用いたTaylor-Green渦(Re=1,600)の計算結果(自由度を128^3に固定)を示す.従来の手法では,空間4次精度(p3)以上の結果が計算不安定となり破綻する事がわかる.一方で,図2には今回取り入れた自乗量保存型のFR法を示しており,空間16次精度(p15)という超高次精度でも安定に計算が行えている.図3には渦度の等値面を示しており,セル数が少ないながらも各セル内で超高次精度の多項式により,適切に物理量を表現出来ている事が分かる.

なおここには示さないが,本研究では非粘性流束に数値粘性の入らないものを用いても安定に計算出来る結果を得ている.これにより,不要な数値粘性を極力排除しつつ,非線形安定を保った流体計算が行えるフレームワークを確立出来たと考えており,今後も更なる改善を進めていきたい.

Annual Reoprt Figures for 2016

図1:従来のFR法を用いたTaylor-Green渦におけるエンストロフィーの時間発展

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図2:新しい自乗量保存FR法を用いたTaylor-Green渦におけるエンストロフィーの時間発展

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図3:空間16次精度の自乗量保存FR法を用いたTaylor-Green渦における渦度の等値面

 

成果の公表

査読付論文

1)(under review)Stable, non-dissipative, and conservative flux-reconstruction schemes in split forms,submitted to Journal of Computational Physics, 2017

口頭発表

1)Yoshiaki Abe, Issei Morinaka, Takanori Haga, Taku Nonomura, Koji Miyaji, Flux reconstruction scheme in split form, 4th international workshop for high-order CFD methods, Greece, June, 2017

2)Issei Morinaka, Yoshiaki Abe, Takanori Haga, Taku Nonomura, Koji Miyaji, Conservation Properties of High-order Flux-reconstruction Scheme in Split Forms, ECCOMAS Congress 2016, June, Crete, Greece

計算情報

  • 並列化手法: スレッド並列
  • プロセス並列手法: 非該当
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 1
  • プロセスあたりのスレッド数: 16
  • 使用ノード数: 1
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 24
  • 実行ケース数: 32

利用量

 

総仮想利用経費(円): 135,581

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 72,288.08 118,895
SORA-PP 0.00 0
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 0.00 0

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 39.74 251
/data 1,627.60 10,320
/ltmp 162.76 1,032

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 2.45 5,080

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)


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