細長比が及ぼす飛翔体空力特性への影響
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0055
- 責任者: 北村 圭一(横浜国立大学)
- 問い合わせ先: 稲富 彩乃(inatomi-ayano-ng@ynu.jp)
- メンバ: 稲富彩乃,青柿拓也,北村圭一
- 利用分類: 宇宙分野(宇宙輸送)
概要
数値解析によって細長物体の大迎角時に発生する横力,非対称性を調べた.また形状は細長比の異なる複数の形状とした.これにより,迎角50度と140度で異なる結果が得られた.そして,迎角50度において横力を抑えることが出来た短い鈍頭形状が,迎角140度においては一番大きな横力を発生させることが分かった.このことから,横力を抑えられると考えられていた細長比の小さい形状が,必ずしも全ての迎角において横力を抑えられるわけではないことが確認できた.
目的
再使用ロケットのノーズエントリ方式による転回運動における横力を調べるため,迎角90度前後における形状が横力に及ぼす影響を調べることを目的とする.
目標
再使用ロケットを模擬した形状を用いて数値解析を行い,90度を超える迎角における横力と,迎角90度未満の大迎角における横力とを比較する.
参照URL
なし
スパコンの用途
様々な形状を用いるため計算ケースが多く,また格子点数も多いため,能力の高いスパコンを用いることで効率良くより正確な数値解析の結果を得る必要があった.
スパコンの必要性
様々な形状を用いるため計算ケースが多く,また格子点数も多いため,能力の高いスパコンを用いることで効率良くより正確な数値解析の結果を得る必要があった.
今年度の成果
細長物体周りの空気について数値解析を行った.形状はノーズコーンと,正方断面の後方部の2つのパーツで成り立っており,異なる細長比の形状と比較した.迎角50度においては,形状が長くなるにしたがって非対称性が顕著になった.そして横力や非対称性は物体の長さだけでなく,鈍さの影響も受ける.一方で迎角140度においては,形状が短くなるにしたがって非対称性が生じる.これらのことから,ノーズの鈍さの大きさが横力を増加させる.このように,迎角50度と140度において反対の傾向が見られたのは興味深い.これまで短く鈍頭な形状が横力を抑えられると考えられていたが,90度を超える迎角においては複雑な後流の構造が発見され,短い鈍頭形状が横力を抑えられないことが新しく確認できた.
成果の公表
口頭発表
1) 稲富彩乃,北村圭一,野中聡,’再使用ロケットに向けた形状の異なる細長物体の空力解析’日本航空宇宙学会 第48期年会講演会,東京大学 山上会館, 文京区, 2017年4月14日.
2) Inatomi, A., Kitamura, K., Nonaka, S., ‘Numerical Analysis on Reusable Rocket Aerodynamics with Reduced-yaw-force Configurations’, 31st ISTS, Matsuyama Japan, Jun 3-9, 2017.
計算情報
- 並列化手法: プロセス並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: maximum 1024
- プロセスあたりのスレッド数: 1
- 使用ノード数: maximum 32
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 8
- 実行ケース数: 80
利用量
総仮想利用経費(円): 4,183,937
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 2,513,964.82 | 4,072,114 |
SORA-PP | 1,312.82 | 11,208 |
SORA-LM | 3,828.30 | 86,136 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 9.54 | 60 |
/data | 95.37 | 604 |
/ltmp | 1,953.13 | 12,384 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.69 | 1,427 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)