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圧縮性境界層における層流―乱流遷移後期過程の非線形渦動力学の解明

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0047

  • 責任者: 松浦 一雄(愛媛大学大学院理工学研究科)
  • 問い合わせ先: 松浦 一雄(matsuura.kazuo.mm@ehime-u.ac.jp)
  • メンバ: 松浦一雄
  • 利用分類: 基礎分野(数値解析,CFD,その他)

概要

航空機が音速の5倍以上という早い速度で飛行する際,エンジンが安定して作動するためや機体回りがどのくらい高温になるか事前に把握するためには,気流が物体回りに作る境界層流れの遷移が大切である.スーパーコンピュータを用いて境界層の中で発生する渦の動きを調べている.また,そのために必要な数学的手法も開発している.

目的

音速の5倍以上の速さを有する極超音速流れが物体回りに形成する粘性境界層流れにおける層流から乱流への遷移過程は,我々が普段経験する低速流れの遷移と比較して,境界層の内部で音速より遅い領域と音速以上の領域が混在するなど密度変動や温度変動といった複雑因子が多く,それらの相互作用も多彩となるため,その渦動力学に関する詳細解明の発展が期待されている.本研究では,極超音速流れで見られる圧縮性境界層における層流―乱流遷移の直接シミュレーションを実施し,後期過程における非線形渦動力学を解明することが目的である.同時に,後期過程を担う渦を誘起する方法論の開発およびその数値計算法の開発を行っている.

目標

極超音速気流により形成される境界層の層流から乱流に至る乱流遷移の直接シミュレーションを実施する.得られる大規模非定常データを基に,遷移後期過程において現れる組織渦や境界層内部の変動を同定し,その生成や変形などを議論する.また,境界層擾乱を変えることにより,遷移過程に対する影響を解明する.

参照URL

なし

スパコンの用途

Navier-Stokes方程式の初期値境界値問題の初期値や境界条件を変えながら解くため.また得られた計算データから渦構造を抽出し解析するため.

スパコンの必要性

極超音速流れにおける境界層遷移は,風洞自体による擾乱環境が存在し実験計測が困難であるため遷移現象の解明のためには数値シミュレーションが中心的な研究手段となる.一方で,境界層遷移は擾乱に敏感であり,また極超音速流れの強い圧縮性によって遷移が起こりにくくなるため,高精度な大規模計算を短期間で可能にする最新鋭のスパコンが研究のフロンティアを牽引する役割を担っている.

今年度の成果

極超音速流れの境界層中に置かれた突起の下流に形成される渦構造および遷移境界層中に生じる2次的ヘアピン渦構造

Annual Reoprt Figures for 2016

図1:マッハM=6.0の極超音速境界層に設置した楔型突起による渦生成

 

Annual Reoprt Figures for 2016

図2:遷移境界層における2次的ヘアピン渦の生成

 

成果の公表

査読付論文

1) K. Matsuura, ‘Direct numerical simulation of a straight vortex tube in a laminar boundary-layer flow,’ Int. J. Comp. Meth. and Exp. Meas., Vol. 4, No. 4, pp. 474-483 (2016).

2) K. Matsuura, ‘Evolution of a modelled hairpin vortex in a laminar-boundary-layer flow,’ 20th Australasian Fluid Mechanics Conference, Perth, Australia, 5-8 December, pp. 1-4 (2016).

3) K. Matsuura, ‘Research on the late-stage of laminar-turbulent transition,’ Proc. of the 6th Int. and 43rd Nat. Conf. on Fluid Mech. and Fluid Power, December 15-17th, MNNITA, Allahabad, U.P., India, pp. 1-6 (2016).

4) K. Matsuura, ‘DNS study on a tertiary instability process in the late stage of boundary-layer transition,’ Proc. of the 6th Int. and 43rd Nat. Conf. on Fluid Mech. and Fluid Power, December 15-17th, MNNITA, Allahabad, U.P., India, pp. 1-6 (2016).

5) K. Matsuura, ‘DNS study on the evolution of a hairpin-like vortex tube into a turbulent spot,’ Int. Conf. for Comput. Phys., Math. and Appl, (ICCPMA2016) November 7-8, Tokyo, Japan, pp. 1-9 (2016).

口頭発表

1) 松浦一雄,「遷移境界層におけるヘアピン型および直線型渦管の数値解析」,2016年度日本流体力学会中四国九州支部講演会 (2016).

2) K. Matsuura, Numerical analysis of a straight vortex tube in a laminar boundary-layer flow, ECCOMAS Congress 2016, 5-10 June Crete Island, Greece (2016).

計算情報

  • 並列化手法: ハイブリッド並列
  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 自動並列
  • プロセス並列数: 32
  • プロセスあたりのスレッド数: 8
  • 使用ノード数: 32
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 110
  • 実行ケース数: 0

利用量

 

総仮想利用経費(円): 1,377,968

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 830,919.22 1,358,554
SORA-PP 0.00 0
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 0.00 0

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 9.54 89
/data 95.37 899
/ltmp 1,953.13 18,423

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 0.00 0

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)