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発達した乱流の大規模数値シミュレーション研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0042

  • 責任者: 後藤 晋(大阪大学基礎工学研究科)
  • 問い合わせ先: 後藤 晋(goto@me.es.osaka-u.ac.jp)
  • メンバ: 花島啓太,川邉哲也,後藤晋,薦田拳,神吉遵
  • 利用分類: 基礎分野(数値解析,CFD)

概要

我々の身のまわりの流れのほとんどは乱流である.興味深いことに,乱流中の小さな渦の性質は乱流の種類によらずに普遍的である.この普遍性の起源を探ることで,航空宇宙工学の様々な問題に応用可能な新しい乱流モデルを構築する.

目的

航空宇宙工学に現れる流れのほとんどは高レイノルズ数の発達した乱流である.高いレイノルズ数の乱流の(境界条件に依存しない)普遍的な統計性質の背後にある物理を明らかにするとともに,その知見に基づいた斬新な乱流モデルを構築することが本事業の目的である.

目標

種々の境界条件下における乱流の大規模数値シミュレーションを実行し,①その統計や動力学に現れる普遍性を明らかにするとともに,②従来から用いられてきた乱流モデルの基盤をなす乱流の統計法則の成否を検証することが本事業の目標である.

参照URL

なし

スパコンの用途

本事業の骨子は,種々の境界条件下で維持される乱流の大規模数値シミュレーションを実行し,その統計性質や動力学を詳細に調べることにある.この数値シミュレーションおよびそのポストプロセシングにスパコンを活用する.

スパコンの必要性

十分に発達した乱流は,大小さまざまな渦からなる.したがって,乱流の数値シミュレーションでは,小スケールの渦を解像しつつ,大規模スケールの渦のゆっくりとした運動をシミュレートする長時間の時間積分が必要である.このために,本事業の実施のためには,高性能のスパコンが必須である.

今年度の成果

乱流の境界条件によらない普遍性の起源を明らかにすることを目標として,いくつかの境界条件において高レイノルズ数の乱流の直接数値シミュレーションを行うためのプログラムを新規に開発した.具体的には,従来までの周期境界条件下の流れおよび球形容器内の流れに加えて,平行平板間流れ,平板境界層流れ,任意形状の容器内に維持される流れの数値シミュレーションプログラムを開発した.

また,周期境界条件下における高レイノルズ数の減衰乱流の直接数値シミュレーションを実行し,減衰過程において乱流中のエネルギーカスケードが質的に異なる2つの段階からなることを明らかとした.

さらに,自転軸が歳差運動をする球形容器内に維持される乱流の数値シミュレーションと室内実験を相補的に用いて,その維持機構を明らかにした.興味深いことに,この乱流中に維持される小スケールの渦は,壁面近傍のせん断流れに直接駆動されるのではなく,下図に示すような大規模渦からのエネルギーカスケードによることが明らかとなった.

Annual Reoprt Figures for 2016

図1:自転軸が歳差運動をする球形容器内に維持される乱流中の大規模渦.逆向きに回転する二対の渦対が効率よく小スケールの渦を生成する

 

成果の公表

査読付論文

1) Susumu Goto, J. C. Vassilicos, Unsteady turbulence cascades, Phys. Rev. E 94 (2016) 053108.

口頭発表

1) Susumu Goto, Yasufumi Horimoto, The sustaining mechanism of turbulence in a precessing sphere. (2016年6月29日,International Workshop on Theoretical Aspects of Near-Wall Turbulence Studies)

2) 後藤晋,乱流輸送現象の物理 ~ 数値シミュレーションと室内実験.(2016年8月5日,プラズマ科学のフロンティア 2016 研究会)

3) 後藤晋,J. C. Vassilicos,減衰乱流のエネルギー散逸則.(2016年9月13日,日本物理学会 2016年 秋季大会)

4) 後藤晋,種々の輸送現象に関する大規模数値シミュレーション.(2016年9月7日,プラズマシミュレータシンポジウム2016)

5) 堀本康文,後藤晋,歳差運動をする球体内の乱流における小スケール渦の生成機構.(2016年9月28日,日本流体力学会 年会2016)

6) 岡温,後藤晋,埋め込み境界法による乱流中の固体粒子の数値シミュレーション(2016年12月13日,第30回 数値流体力学シンポジウム)

7) 後藤晋,Lennaert van Veen,周期条件下の過渡的乱流.(2017年3月17日,日本物理学会 第72回年次大会)

計算情報

  • 並列化手法: ハイブリッド並列
  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP,自動並列
  • プロセス並列数: 64
  • プロセスあたりのスレッド数: 4
  • 使用ノード数: 8
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 10
  • 実行ケース数: 10

利用量

 

総仮想利用経費(円): 2,015,342

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 1,166,455.45 1,917,836
SORA-PP 0.00 0
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 0.00 0

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 94.24 888
/data 476.84 4,498
/ltmp 9,765.63 92,119

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 0.00 0

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)


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