衝撃波捕捉型磁気流体コード「OpenMHD」の開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0040
- 責任者: 銭谷 誠司(国立天文台)
- 問い合わせ先: 銭谷 誠司(zenitani@rish.kyoto-u.ac.jp)
- メンバ: 長井嗣信,銭谷誠司
- 利用分類: 宇宙分野(宇宙科学,宇宙理学)
概要
このプロジェクトでは,宇宙空間プラズマ環境で起きるさまざまな物理素過程の基礎研究に取り組み,それらの解明を目指すとともに,シミュレーション研究のためのコードの開発を行っている
目的
「宇宙空間プラズマ環境で起きる物理素過程の基礎研究に取り組む.」
目標
「宇宙空間のプラズマ素過程の研究のための磁気流体シミュレーションコードを開発・公開する.」
参照URL
「OpenMHD コード」参照。
スパコンの用途
シミュレーションコードの開発・テスト環境として,スカラー機である FX100 を活用した.
スパコンの必要性
宇宙空間プラズマ現象は大まかには磁気流体力学を用いて説明できるが,磁気流体方程式系は非常に複雑で難しい.磁気流体現象を理解するためには,スパコンによる数値計算が必須である.また,コードの開発にあたっては,並列環境や,スカラー機特有の振る舞いに対応するため,FX の実機が必要である.
今年度の成果
磁気流体コードの主要部の計算順序を再考し,ループ処理やデータの局在化を考慮してコードの改良を行った.結果を図に示す.左2つがIntelワークステーション,右がJSSのFX100システムで行ったベンチマーク結果で,HLL法(簡易アルゴリズム)およびHLLD法(標準アルゴリズム)の2種類のコードの実行時間を比べている.2015年版から2016年版への変更では,Intel, FX100の両環境で着実に性能が向上した.さらに,利用者の要望を踏まえて,可視化ルーチンやオンラインドキュメントを整備した.
2016年度には,作者以外のグループによって,OpenMHDコードを使ったシミュレーション研究論文も出版されたところである(S. Nitta et al. [2016], Astrophys. J. 828, 63).本プロジェクトは,日本の宇宙空間プラズマ分野の研究・教育に貢献している.
成果の公表
口頭発表
1) 銭谷誠司,Compressible fluid effects in plasmoid-dominated turbulent reconnection, 日本地球惑星科学連合 2016年大会,千葉県幕張市,2016年5月24日
Web上に研究成果が掲載されている場合のURL
1) http://th.nao.ac.jp/MEMBER/zenitani/openmhd-j.html
2) http://th.nao.ac.jp/MEMBER/zenitani/openmhd-e.html
その他
1) Zenitani, S., 2016, Astrophysics Source Code Library, record ascl:1604.001
計算情報
- 並列化手法: プロセス並列,ハイブリッド並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 32
- プロセスあたりのスレッド数: 1
- 使用ノード数: 32
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 0.3
- 実行ケース数: 100
利用量
総仮想利用経費(円): 107,284
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 49,219.98 | 78,164 |
SORA-PP | 0.00 | 0 |
SORA-LM | 0.00 | 0 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 14.31 | 134 |
/data | 143.05 | 1,349 |
/ltmp | 2,929.69 | 27,635 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)