水素利用高速推進システムの研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)
報告書番号: R16J0022
- 責任者: 二村 尚夫(航空技術部門 推進技術研究ユニット)
- 問い合わせ先: 田口 秀之(taguchi.hideyuki@jaxa.jp)
- メンバ: 本郷素行,晝間正治,佛圓純
- 利用分類: 航空分野(航空機エンジン)
概要
太平洋を2時間で横断できるマッハ5クラスの極超音速旅客機の実現を目指して技術を確立することを目的に研究開発が進められている.マッハ5で飛行する極超音速旅客機においては,マッハ2以下の超音速旅客機と比べ,高温な環境で飛行することになるため,新しいエンジンや耐熱構造等の研究開発が必要になる.現在は,離陸からマッハ5まで連続作動できる極超音速ターボジェットの研究開発を中心にして,極超音速旅客機のシステム検討,空力設計,耐熱設計等を進めている.
目的
・極超音速ターボジェットのアフターバーナ燃焼実験を実施し,可変機構の動作によって推力を最大化するとともに,実飛行を想定した推力制御実証を行う.
・極超音速機と極超音速エンジンの相互干渉を加味した機体/推進統合制御技術の確立に向けて,極超音速統合制御実験機の制御特性を取得する.
・極超音速実用機の要求仕様を定義するとともに,極超音速ターボジェットの巡航飛行実証を行うための極超音速巡航実験機の設計仕様を提示する.
目標
液体水素燃料を用いた予冷方式の極超音速ターボジェットの推力制御方法と機体/推進統合制御方法を実証するとともに,将来の実験機/実用機システムを提示する.
参照URL
「極超音速旅客機技術 | 航空新分野創造プログラム(Sky Frontier) | JAXA航空技術部門」参照。
スパコンの用途
・極超音速統合制御実験機の空力性能について,CFDで推算し風洞実験結果と比較することで妥当性を確認する.
・極超音速巡航実験機の主翼に円錐型ウェーブライダを適用し,CFDによって空力性能が向上する機体形状の検討を行う.
スパコンの必要性
極超音速実験機の空力性能をCFDで取得する場合,計算負荷が大きく,計算時間を長く必要とするため.
今年度の成果
・マッハ5クラスの極超音速統合制御実験機について,極超音速風洞実験とCFDを用いて空力性能を評価した.
・マッハ5クラスの極超音速巡航実験機について,極超音速と低速における空力性能をCFDを用いて評価した.
成果の公表
査読なし論文
1) ○晝間正治,手塚亜聖,田口秀之,本郷素行,廣谷智成,古賀星吾,「極超音速巡航実験機の低速空力検討」,『第60回宇宙科学技術連合講演会』,函館アリーナ,北海道,2016/9/6~9
2) ○晝間正治,手塚亜聖,田口秀之,本郷素行,廣谷智成,「円錐型ウェーブライダ翼の上面形状が低速空力性能に与える影響の評価」,『平成28年度 宇宙輸送シンポジウム』,STCP-2017-036,JAXA宇宙科学研究所,2017/1/19
計算情報
- 並列化手法: ハイブリッド並列
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP,自動並列
- プロセス並列数: 60
- プロセスあたりのスレッド数: 12
- 使用ノード数: 5
- 1ケースあたりの経過時間(時間): 72
- 実行ケース数: 70
利用量
総仮想利用経費(円): 8,881,084
内訳
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
SORA-MA | 1,532,647.48 | 2,507,196 |
SORA-PP | 671,729.33 | 5,735,224 |
SORA-LM | 2,497.20 | 56,187 |
SORA-TPP | 0.00 | 0 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
/home | 1,201.63 | 11,335 |
/data | 53,710.96 | 506,657 |
/ltmp | 6,835.94 | 64,483 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 仮想利用経費(円) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0 |
注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)