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大気突入機の熱空力評価システムの高度化

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)

報告書番号: R16J0008

  • 責任者: 浜本 滋(航空技術部門 空力技術研究ユニット)
  • 問い合わせ先: 鈴木 俊之(suzuki.toshiyuki@jaxa.jp)
  • メンバ: アドリアン・ルマル, 鈴木俊之, 小澤宇志, 山田透, 樋口勇人
  • 利用分類: 基礎分野(数値解析,モデリング,CFD,その他)

概要

本研究では,極超音速での大気圏突入時における加熱および空力特性を数値シミュレーションによって高い精度で予測するため,高温気体の物理モデルやシミュレーション手法について高度化を行う.新たに提案するモデル・手法を用いたシミュレーションと実験によって得られたデータを比較することで予測精度を実証し,高精度なシミュレーションツールを実現することを目指す.

目的

惑星探査カプセルが大気圏突入時に受ける空力加熱および空気力学的な力(以下,熱空力特性と呼称する)を数値シミュレーションにより高精度に予測することを目的とする.また,熱空力特性の予測精度を向上するための熱化学モデル・数値解析手法を開発することを目的とする.

目標

惑星大気圏突入において,

・極超音速飛行時に受けるカプセル壁面熱流束および空力特性の高精度な評価

・パラシュート展開点付近の亜音速~遷音速~超音速飛行時における空力特性の高精度な評価

を可能にする.

参照URL

なし

スパコンの用途

物理モデルや試験気流条件などの不確定性を評価するため,モデル・条件を変化させて多くのケースの解析を実施するためにスパコンを使用した.

スパコンの必要性

揚力飛行(有迎角飛行)による大気圏突入において極超音速飛行時の空力加熱量を正確に評価するためには,突入軌道に沿って何ケースもの三次元解析を行う必要がある.そのような多数ケースの三次元解析を短期間で実施し,軌道やカプセル形状の変更にともなう再評価などの要請にも対応するためにはスパコンが不可欠である.また本事業では,パラシュート展開点付近での超音速以下のマッハ数領域ではカプセル周りの乱流場を高精度に解くために Large Eddy Simulation(LES)を活用している.LES による三次元の非定常解析は非常に計算コストが高く,カプセル設計に必要な多ケースの解析を実施するためにはスパコン利用が不可欠である.

今年度の成果

本年度の代表的な成果を以下に挙げる:

- 炭素系化学種に対する粘性係数,熱導電率および拡散係数など新しい輸送モデルの開発

- 空気プラズマに対する非平衡化学モデルの開発

- 高温領域でのCO2赤外線放射のための分光データベースの実装

具体的には,本研究による新しい輸送係数モデルは熱化学非平衡流モデリングのコミュニティで従来使用されてきたモデルよりも正確で高いコスト効率を実現した.空気プラズマに対する熱化学非平衡モデルでは,HTV-Rおよびはやぶさ2大気圏突入時の条件について,NASAエイムズ研究所で開発されたモデルの性能を上回ることが示された.新しいCO2分光データベースでは,現在JAXAが検討中の火星探査ミッションにおける代表的な熱力学的平衡条件について評価が行われた.本研究による新しい分光データベースは,5000Kまでの温度領域における実験データ(加熱セル,マイクロ波プラズマトーチおよび衝撃管計測)と良く一致し,HITRAN・HITEMPなど従来のデータベースと比べて優れた予測結果を与えることが示された.

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.1: 火星大気圏突入カプセル模型に対する流れ場の計算例.(上)CO2,および(下)COの質量分率.

 

Annual Reoprt Figures for 2016

Fig.2: JAXA 高速膨張波管(HVET)の試験気流評定のための数値解析例.(上から下へ)温度および圧力分布の時間変化.

 

成果の公表

査読付論文

1) Lemal et al., Simulations of CO2 nonequilibrium radiation, in preparation for Journal of Thermophysics and Heat Transfer.

2) Lemal et al., Influence of CO2 vibration models on a Mars entry flow field, in preparation for Journal of Thermophysics and Heat Transfer.

3) Lemal et al., Influence of CO2 thermodynamic model on radiative heating, in preparation for Journal of Thermophysics and Heat Transfer.

4) Lemal et al., Calculation of post shock VUV radiance for high speed Earth entry,submitted to Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences.

5) Yamada et al., Numerical Simulation of Flow Conditions Generated by Hyper Velocity Expansion Tube,submitted to Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences.

査読なし論文

1) Higuchi et al., Physico-Chemical Parameters Governing the Convective and Radiative Heating from a CO2-based mixture, AIAA 2017-1368, 2017.

2) 山田透ほか,膨張波管の試験気流条件決定に向けた数値解析,平成 28 年度衝撃波シンポジウム,講演論文集 1A3-3,2017.

3) 樋口勇人ほか,膨張波管における火星大気突入カプセル周りの数値流体解析における気流条件の影響,日本航空宇宙学会 第48期定時社員総会および年会講演会 講演論文集 2C07,2017.

口頭発表

1) 山田透ほか,膨張波管により生成した気流の熱化学非平衡下での一次元計算,平成 27 年度宇宙航行の力学シンポジウム,2016.

2) 山田透ほか,膨張波管の試験気流条件決定に向けた数値解析,平成 28 年度衝撃波シンポジウム,2017.

3) 樋口勇人ほか,膨張波管における火星大気突入カプセル周りの数値流体解析における気流条件の影響,日本航空宇宙学会 第48期定時社員総会および年会講演会,2017.

計算情報

  • 並列化手法: ハイブリッド並列
  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP,自動並列
  • プロセス並列数: 16-208
  • プロセスあたりのスレッド数: 4-32
  • 使用ノード数: 16-50
  • 1ケースあたりの経過時間(時間): 1-168
  • 実行ケース数: 200

利用量

 

総仮想利用経費(円): 7,287,704

 

内訳

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 仮想利用経費(円)
SORA-MA 501,028.04 791,433
SORA-PP 740,570.28 6,322,989
SORA-LM 0.00 0
SORA-TPP 0.00 0

 

SORA-FS ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 仮想利用経費(円)
/home 505.45 4,767
/data 10,051.73 94,818
/ltmp 7,812.50 73,695

 

J-SPACE アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 仮想利用経費(円)
J-SPACE 0.00 0

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月~2017年3月)



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