JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月～2017年3月)

報告書番号: R16J0003

• 責任者: 牧野 好和(航空技術部門 次世代航空イノベーションハブ)
• 問い合わせ先: 栗田 充(kurita@chofu.jaxa.jp)
• メンバ: 栗田充,黒田文武
• 利用分類: 航空分野(航空機)

概要

原油価格が高騰し環境への意識が高まる中,航空機の空気抵抗低減技術は益々重要な意味を持つ.旅客機は全ての空気抵抗の内,表面摩擦抵抗の占める割合が最も高いため,最も空気抵抗を効率良く下げる方法のひとつは表面摩擦抵抗を低減させることである.

リブレットは乱流境界層の表面摩擦抵抗を低減させることができる.JAXAは施工性,耐久性,軽量性に優れた独自のリブレット技術を研究開発しており,JAXA独自のリブレット技術をJAXA実験用航空機「飛翔」に適用し飛行環境下でのリブレット効果を確認する,「表面摩擦抵抗低減コーティング技術の飛行実証FINE」を計画している.FINEで得た研究開発成果を活かしたリブレット技術の社会実装を促進させることで,燃費の良い,より環境にやさしい航空技術の発展に役立てる.

目的

航空機の表面摩擦抵抗を低減させるリブレット技術の技術成熟度(TRL)を向上させるとともに,JAXA技術の社会実装を促進させ,ひいては航空機の環境面での変革を促進させることで国内航空産業の競争力強化に貢献する.

目標

JAXA独自リブレット技術による表面摩擦抵抗低減効果を飛行環境下で確認する.

参照URL

なし

スパコンの用途

リブレットによる全機抵抗低減効果の推算手法の研究

スパコンの必要性

RANSによるCFD計算,Field Viewによる可視化

今年度の成果

本研究は,取得が容易であるリブレットで覆われていない航空機周り流れの解析結果と実験室でのリブレット流れの実験結果を融合し,リブレットを航空機に適用した際の抵抗低減効果を推算する簡便な手法を提案した.過去に行われた飛行試験で示された抵抗低減率に近い値が推算によって得られ,本手法の妥当性を示した.

Fig.1:推算手法の概要

成果の公表

査読付論文

1) 岡林, 栗田, 飯島.: 航空機にリブレットを適用した際の簡便な抵抗低減率推算手法,

航空宇宙技術, 研究ノート, Vol. 15, pp. 127-132, 2016.

計算情報

• 並列化手法: プロセス並列
• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 非該当
• プロセス並列数: 120
• プロセスあたりのスレッド数: 1
• 使用ノード数: 4 , 10
• 1ケースあたりの経過時間(時間): 12
• 実行ケース数: 4

利用量

総仮想利用経費(円): 138,938

内訳

注記: 仮想利用経費=2016年度設備貸付費用の単価を用いて算出した場合の経費

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2016年4月～2017年3月)