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非線形フォースフリー磁場計算による「ひので」観測に基づく太陽コロナ磁場推定

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)

報告書番号: R25JU0912

利用分野: 宇宙科学

PDF(準備中)

  • 責任者: 斎藤義文, 宇宙科学研究所太陽系科学研究系
  • 問い合せ先: 清水敏文(shimizu.toshifumi@jaxa.jp)
  • メンバ: 清水 敏文, 寺岡 耕平, 山崎 大輝

事業概要

太陽系最大の爆発現象である太陽フレアの発現機構を理解することを目的とする. 太陽観測衛星「ひので」等で観測された太陽表面磁場を用いて3次元の磁気流体力学計算を行うことで, 上空のコロナにおける3次元磁場構造を推定する. 推定された3次元磁場構造とフレア発生の関係を探る.

参照URL

https://www.isas.jaxa.jp/home/solar/solarPlasma/whatsSolarPlasma.html 参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

観測から得られた太陽表面(光球)の三次元磁場マップから, 上空に存在する大気(彩層・ コロナ)における三次元磁場分布を外挿推定する. 推定に使用する3次元磁気流体力学計算を用いたフォースフリー磁場モデリングは, 三次元磁場の緩和を行うため, 多くの計算資源が必要となる. 用途は, フレア前の三次元磁場分布を調べることとエネルギーが溜まった磁場が爆発的に膨張しやすい領域を探すことである. 高スペックのスパコンを使うことで, 様々な時間での三次元磁場分布を得ることが短期間で可能になることが利点である.

今年度の成果

本研究では, 太陽大気中の三次元磁場構造を再構築するため, 有限プラズマβ条件を考慮した三次元磁場外挿手法を新たに開発した. 従来広く用いられている非線形力自由磁場(NLFFF)外挿法は, ガス圧や重力を無視するゼロβ近似に基づいており, 彩層や弱磁場領域などの高β領域では磁場構造を正確に再現できないという課題があった. 本研究では, ローレンツ力とガス圧勾配の力の釣り合いを考慮した磁気流体力学(MHD)緩和法に基づく新しい外挿コードを開発し, 3種類の数値スキームを実装した. 実際の太陽観測データを境界条件として大規模三次元計算を行い, 磁場自由エネルギー, 磁気ねじれ量, 残差力などを指標として検証を行った. その結果, 従来のNLFFF法と比較して残差力を約4%低減できることを確認し, ガス圧を考慮することでより力学的に整合的な三次元磁場構造を再現できることを示した (図1). 本研究は, フレアやコロナ質量放出のエネルギー蓄積過程の理解に重要な三次元磁場構造の高精度再現に貢献するものである.

また, 従来のNLFFF法を用いた実データに基づく研究について, 査読誌に成果を公表した. 2017年9月6日に活動領域12673で同様の磁気形状下で発生した閉じ込めフレアと噴出型フレアを, ツイスト数, 減衰指数, 磁力線の高さを用いて比較し, フレア噴出の観測的挙動を明らかにした. この研究は, キンク不安定状態の磁力線が噴出型フレアにとって重要である可能性を示唆し, 背の高い磁力線がフレアの噴出を促進する可能性を示唆した.

Annual Report Figures for 2025

図1: 外挿された三次元磁場構造の時間発展. NLFFF(a-c)および本研究の有限プラズマβ外挿(Scheme A-C; d-l)の結果を示す. 各列は時間ステップ10000, 20000, 30000に対応する. 磁力線の色は磁場強度で規格化した電流密度, 下部境界のグレースケールは光球面磁場の法線成分を示す. 計算はポテンシャル磁場から開始し, MHD緩和により力の釣り合い状態へと収束しながら, 非ポテンシャルでねじれた磁場構造が形成される様子を示している.

 

成果の公表

-査読付き論文

Yamasaki, D., Miyoshi, T., & Inoue, S. "Finite Plasma β Three-dimensional Magnetic Field Extrapolation Based on Magnetohyrdodynamic Relaxation Method", ApJS, 282, 66, (2026)

Teraoka, K, Yamasaki, D., Kawabata,, Y., Imada, S., and Shimizu, T. "Observational Comparison Between Confined and Eruptive Flares: Magnetohydrodynamics Instability Parameters in a Similar Magnetic Configuration," ApJ, 983, 126. (2025)

-ポスター

Daiki Yamasaki, Satoshi Inoue, Takahiro Miyoshi, "Magnetohydrostatic Three-dimensional Coronal Magnetic Field Extrapolation Based on MHD Relaxation Method", JpGU 2025

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 80
  • 1ケースあたりの経過時間: 5 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 0.00 0.00
TOKI-ST 0.00 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 0.00 0.00
/data及び/data2 0.00 0.00
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)