境界層遷移・音響現象の数値シミュレーション
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
報告書番号: R25JTET13
利用分野: 技術習得方式
- 責任者: 中北和之, 航空技術部門基盤技術研究ユニット
- 問い合せ先: 小島良実(kojima.yoimi@jaxa.jp)
- メンバ: 阿部 晃大, 小西 晃平, 宮本 一熙, 小椋 圭大
事業概要
近年, 都市型UAVの普及に伴い空力騒音低減の重要性が高まっているが, 複雑な流動現象を伴う発生メカニズムの理解は未だ不十分である. 本事業では, 大規模数値シミュレーションにより境界層遷移と音響現象の相関および発生メカニズムを解明することを目的とする. 諸条件への依存性調査を通じた詳細な現象解析を行い, 空力騒音の予測精度向上と静粛化設計に資する基礎的知見の獲得を目指す.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
境界層遷移を伴う音響現象の解析は計算負荷が極めて高く, 高解像度な大規模シミュレーションの実施にはスーパーコンピュータの活用が不可欠である. その膨大な計算リソースにより, 格子の細密化や多条件でのパラメータ解析が可能となり, より詳細かつ体系的な現象解明が実現できる.
今年度の成果
本研究では, 小型UAVの静粛化における重要課題である, 中レイノルズ数・低マッハ数領域のNACA0012翼から発生する狭帯域翼後縁騒音(Tonal TEノイズ)の発生メカニズム解明を目的とした. JAXAの流体解析ソルバFaSTARを用いた大規模数値シミュレーションにより, 実環境に近い主流乱れが騒音特性に与える影響を評価した. 解析では, 合成乱流生成法(STG)を用いて翼近傍に主流乱れを導入し, 乱流支配スケールを統一した条件下で2段階の乱れ強度について比較検証を行った.
その結果, 主流乱れ強度の増加に伴い, トーン音特有の主要周波数成分のピーク強度が顕著に低下する現象を確認した(Fig. 1). この際, 主要周波数自体は変化せず, エネルギーが広帯域に分散する特性が確認された. トーン音の発生に支配的な寄与を果たす正圧面側後縁近傍の剥離域に着目すると, 剥離点位置は乱れ強度の影響を限定的にしか受けない一方, 剥離域内における乱流遷移を伴う再付着過程が, 主流乱れによって変化している様子が確認された(Fig. 2). このような剥離域後半部における流動構造の変化が, 結果としてトーン音のフィードバックループを阻害している可能性が考えられる.
本成果は, 乱れが存在する実運用環境下でのUAV騒音予測の精度向上に寄与するものであり, 将来の低騒音設計に向けた重要な知見を提供するものである.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1 - 4800
- 1ケースあたりの経過時間: 192 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.67
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 16937722.04 | 0.77 |
| TOKI-ST | 101481.52 | 0.11 |
| TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-LM | 36395.17 | 2.74 |
| TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 0.00 | 0.00 |
| /data及び/data2 | 0.00 | 0.00 |
| /ssd | 0.00 | 0.00 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 1990.39 | 1.39 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)


