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極低温壁を有するチャネル乱流の Wall-Resolved Large Eddy Simulation

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)

報告書番号: R25JFHC0320

利用分野: 大規模チャレンジ

PDF(準備中)

  • 責任者: 藤田直行, セキュリティ・情報化推進部スーパーコンピュータ活用課
  • 問い合せ先: 岡野泰人, 研究開発部門 第三研究ユニット(okano.yasuhito@jaxa.jp)
  • メンバ: 芳賀 臣紀, 岡野 泰人

事業概要

液体ロケットエンジン燃焼器では壁面熱流束の正確な予測が重要であり, 非定常流を現実的な計算コストで扱える 壁面モデルLES が有効だが, ロケットエンジン燃焼器内のような極低温壁では, 壁面近傍での数値不安定性により計算が破綻する. そこで壁面近傍のみに人工粘性を付加して極低温壁でも安定に計算できる壁面モデルLES手法を開発しており, Tw/Tr=0.8 程度の条件では DNS との比較で有効性を確認済みである. 一方で, 極低温壁条件では信頼できる参照データが不足しており, 定量的な検証が難しい. そこで, 本課題では壁面解像LESを実施して検証用データを取得する. 壁面モデルLESと壁面解像LESの比較を通して, 提案手法の検証および信頼性向上につなげる.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

壁面解像LESでは壁面近傍の粘性底層まで解像する必要がある. そのため, 格子点数・最小格子幅の要求が非常に厳しく, 計算規模が大幅に増大する. また, 反応流では1ステップ当たりの計算負荷およびメモリ要求も大きい. さらに, 乱流場では, 平均場で結果の議論をすることが多く, このために長時間のサンプリングも必要となる. したがって, 検証に使える信頼性の高い参照データを妥協なく取得するには, スパコンの利用が不可欠である.

今年度の成果

開発中の壁面モデルLESの検証データを取得するため, 極低温壁を有する平行平板チャネル乱流に対して壁面解像LESを実施した. テスト気体は水素/酸素の既燃ガスである. また, 燃焼温度は約3500 K, 壁面温度は800 Kとしており, 壁面温度と回復温度の比は約0.2である. 壁面解像LESで得られた主流方向速度で色付けされたQ値の等値面を図1に示す. 渦が明確に捉えられていることが見てとれる. また, 壁面解像LESと壁面モデルLESで取得した境界層の主流方向速度, 温度, レイノルズ剪断応力分布を図2に示す. 壁面モデルLESで得られた分布は壁面解像LESでの分布と良く一致している. また, H2O, O2, OHの質量分率を図3に示す. こちらにおいても壁面解像LESおよび壁面モデルLESは良い一致を示している. さらに, 壁面解像LESで見積もられた無次元壁面熱流束は, 0.1854であり, 壁面モデルLESでは, 0.1768となっている. 両者間の誤差は5.1%以内となっている. 以上から, 本課題で実施した壁面解像LESにより, 開発した壁面モデルLESの反応流れに対する有効性が示された. 現在は, より実用的な燃焼機内流れへの適用を進めている.

Annual Report Figures for 2025

図1: 主流方向速度で色付けされたQ値の等値面(WRLES).

 

Annual Report Figures for 2025

図2: 主流方向速度, 温度, レイノルズ剪断応力の壁面垂直方向分布.

 

Annual Report Figures for 2025

図3: H2O, O2, OHの質量分率の壁面垂直方向分布.

 

成果の公表

-査読なし論文

1. 岡野泰人, 芳賀臣紀, “FR法における堅牢な等温壁条件WMLES,” 第57回流体力学講演会/第43回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム.

2. Okano, Y., Haga, T., “Robust Wall-modeled LES with Flux Reconstruction Scheme toward Accurate Heat Flux Prediction in Rocket Engine Combustors,” AIAA Paper, No. 2026-0387, 2026.

-口頭発表

1. 岡野泰人, 芳賀臣紀, ”流束再構築法による低温壁条件下の反応流壁面モデルLES,” 第39回数値流体力学シンポジウム, 2025年12月16日, 北九州市.

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 112 - 336
  • 1ケースあたりの経過時間: 600 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.65

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 17545154.05 0.80
TOKI-ST 252.25 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 0.00 0.00
/data及び/data2 0.00 0.00
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 10.01 0.03

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)