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CMB偏光観測衛星LiteBIRDの光学要求解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)

報告書番号: R25JDU20199

利用分野: 宇宙科学

PDF(準備中)

  • 責任者: 藤本龍一, 宇宙科学研究所宇宙物理学研究系
  • 問い合せ先: 永田 竜(nagata.ryo@jaxa.jp)
  • メンバ: 板井 雄祐, 永田 竜, 小栗 秀悟, 高橋 理音, 舘岡 佳蓮, 高倉 隼人

事業概要

 LiteBIRD は JAXA 宇宙科学研究所の戦略的中型衛星として準備中の計画である. LiteBIRD 衛星は, 数千個の検出器を備えた広視野反射型望遠鏡を搭載し, 34GHz から 448GHz という非常に広い周波数帯域で観測を行う. 観測の目的は宇宙初期のインフレーションの痕跡を探るためにマイクロ波背景放射(CMB)の偏光を精密に測定することにあるが, 銀河面からの放射の漏れこみなどが主要な系統誤差要因となる. そのため, ビーム特性(アンテナパターン)を高い精度で把握することが極めて重要である. 本事業では LiteBIRD のために開発されている物理光学シミュレーション POji を用いてアンテナパターンを計算し, その評価を通じて観測性能の理解と系統誤差の低減に資することを目的とする.

参照URL

https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/future/litebird.html 参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

 LiteBIRD 望遠鏡のアンテナ鏡面が ≈1m であるのに対して 448GHz での光の波長は 0.669mm である. 高い周波数帯を扱うほど鏡面を離散化するメッシュサイズを細かくせざるを得ず, 計算量が急激に増加する. 1 辺あたりのメッシュサイズを 1/2 に細かくすると, 鏡面のメッシュ数はその 2 乗で増加する. さらに, LiteBIRD は 2 つの反射鏡で構成されるクロスドラゴン光学系であることから計算時間は 4 乗で上昇する. この 4 乗則に基づいて LiteBIRD に必要なシミュレーションを試算すると, 一般的な高性能ワークステーション PC であっても約 720.5 日の計算時間であり, LiteBIRD は数千個の検出器を備えるためこれはさらに数百万日に到達し, スタンドアローンの環境では現実的な計算時間に収まらない. JAXA のスーパーコンピュータが持つ並列処理能力を利用することで, シミュレーションの大規模化に対処する目論見である.

今年度の成果

 今年度は物理光学シミュレーション POji における計算精度の検証と, 近傍界測定結果との比較による遠方界アンテナパターンの妥当性評価を行った. 面を離散化した点として扱うメッシュサイズについて, 他の条件をすべて揃えた上でメッシュサイズを細かくするほど差分が低減されることを確認し, LiteBIRD の要求する精度を満たすために十分な計算精度が得られることを示した(図1). さらに, LiteBIRD 望遠鏡 1/4 スケールモデル, 180 GHz, 焦点面中央の条件において, 物理光学シミュレーション POji での結果と近傍界測定結果(H. Takakura et al., 2022, Proc. SPIE, 1218052)を遠方界アンテナパターンで比較した結果, 二次元マップではリング状サイドローブの傾向が定性的に一致し(図2), 測定によるスキャンノイズの影響を避けるために用いた +45° 斜めカットでは, ピークから概ね −50 dB 程度までメインローブおよび近傍サイドローブの位置・レベルが良好に一致することを確認した(図3).

Annual Report Figures for 2025

図1: h/λ=0.096 での結果と h/λ=0.12~0.6 との遠方界アンテナパターンの差分平均値.

 

Annual Report Figures for 2025

図2: 180GHz における遠方界アンテナパターン, Poji (左) と測定結果 (右).

 

Annual Report Figures for 2025

図3: 焦点面中央での遠方界アンテナパターンの +45°一次元カット図.

 

成果の公表

-口頭発表

日本天文学会 2026 年春季年会・観測機器 (電波) V143a

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 48 - 48000
  • 1ケースあたりの経過時間: 4 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.02

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 434811.87 0.02
TOKI-ST 5.99 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 100.00 0.16
/data及び/data2 100.00 0.00
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.35 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)