航空宇宙推進系における燃焼および乱流場の二次元モデリングに関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
報告書番号: R25JDA201J05
利用分野: 航空技術
- 責任者: 中北和之, 航空技術部門基盤技術研究ユニット
- 問い合せ先: 松山 新吾(matsuyama.shingo@jaxa.jp)
- メンバ: 松山 新吾
事業概要
航空エンジン・ロケットエンジンなどの航空宇宙推進系の開発を効率化するため, 燃焼・乱流現象を高忠実に再現可能なLESを設計プロセスに組み込みたいというニーズは高い. しかしながら, LESは三次元解析が必須な手法であり計算コストが非常に大きいため, 実際の開発において設計プロセスに広く組み込まれているとはいいがたい. 本研究では, 本質的に三次元な現象である燃焼・乱流現象を二次元モデリングにより低次元化することで二次元LESを実現し, 推進系の設計に利用可能なレベルまで低コスト化することを目指す.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
三次元の物理現象が支配的な燃焼器について二次元近似によりモデリングを行うためには高忠実な燃焼LESのデータが必要となるが, 燃焼LESでは化学反応により生じる多数の化学種に関する支配方程式を三次元非定常問題として解かなければならない. このような解析は計算コストが非常に高く, スーパーコンピュータを使用しなければ実行は不可能である.
今年度の成果
ラムジェットエンジン試験設備 (RJTF) において実施されたマッハ6のスクラムジェット燃焼試験を対象としてLES解析を実施した. ここでは, 蓄熱体加熱方式 (試験気流中に水蒸気が混入しない) による燃焼試験 (M6S) について解析を行った結果を報告する. まず, エチレン燃料を噴射しない非燃焼の解析により得られた瞬時の流れ場の結果を図1に示す. 流れ場の時間平均分布から壁面圧力を評価して実験データと比較した結果を図2に示す. 実験データは燃焼室上面 (top) と下面 (bottom) で非対称な分布を示しているが, LESの結果はおおむね実験データの傾向を再現している. さらに, エチレン燃料を噴射して (当量比0.35) 燃焼解析を行った場合の瞬時の流れ場の様子を図3に, 燃焼LESによる壁面圧力と実験データを比較した結果を図4に示す. 燃焼LESの傾向はキャビティより上流部では実験データとおおむね一致しているが, キャビティより下流の位置では壁面圧力がかなり過小評価される結果となった.
成果の公表
-査読なし論文
1) 松山 新吾 "S-520-RD1 飛行試験データのポストフライト解析", 第57回流体力学講演会/第43回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム論文集, JAXA-SP-25-010, p. 95-100, 2026.
-口頭発表
1) 松山 新吾 "S-520-RD1 飛行試験データのポストフライト解析," 第57回流体力学講演会/第43回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 2025.
2) 松山 新吾 "RJTFにおけるマッハ6スクラムジェット燃焼試験のLES," 第63回燃焼シンポジウム, 2025.
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 102 - 305
- 1ケースあたりの経過時間: 400 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 1.01
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 26941750.15 | 1.22 |
| TOKI-ST | 7992.08 | 0.01 |
| TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 1024.00 | 1.64 |
| /data及び/data2 | 102400.00 | 0.67 |
| /ssd | 30720.00 | 1.87 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 28.69 | 0.09 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 1.74 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)




