極超音速機の熱・空力特性予測技術の研究開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
報告書番号: R25JDA201G20
利用分野: 航空技術
- 責任者: 中北和之, 航空技術部門基盤技術研究ユニット
- 問い合せ先: 松山 新吾(matsuyama.shingo@jaxa.jp)
- メンバ: 松山 新吾, 藤井 啓介
事業概要
極超音速で飛行する飛翔体周りには強い衝撃波が発生し, 衝撃波に圧縮された高温気体から機体へ強い熱伝達が生じる. 本研究ではそのような極超音速機周りの流れ場をCFDにより再現し, 機体へ加わる空力・加熱を正確に評価する技術を確立することを目的とする.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
極超音速飛翔体の飛行条件ではレイノルズ数が高いことが多く, 乱流加熱を評価する必要が生じる. 本研究では Direct Numerical Simulation (DNS) と Large Eddy Simulation (LES) による乱流解析により乱流加熱を高精度に評価することを目指すため, 必然的に三次元非定常解析を実施しなければならない. このような大規模三次元解析は計算コストが非常に高く, スーパーコンピュータを使用した解析が必須である.
今年度の成果
S-520-RD1飛行試験において観測された境界層乱流遷移のメカニズムを明らかにするため, 実際の飛行試験を対象としてDNS解析を実施した. 境界層遷移の DNS では初期擾乱をどのように与えるかが重要であるが, 本解析ではパネルの隙間を埋める充填剤により機体表面に出っ張りが生じることで擾乱が発生するものと仮定した. 機体表面に出っ張りを設けた形状に対してDNSを実施した結果, 出っ張りによる擾乱をきっかけとして乱流遷移が生じることを確認した (図1および2). また, 飛行条件を変えて解析を行った結果, 飛行試験で取得された熱流束データの傾向を大まかに再現することができた (図3).
図1: S-520-RD1飛行試験に対するDNS解析の結果 (マッハ5.8). 出っ張りによる境界層乱流遷移の様子を速度勾配テンソルの第二不変量の等値面(マッハ数で色付け)により表示. 黒丸は熱流束センサーの位置を示す.
成果の公表
-査読なし論文
1) 松山 新吾 "S-520-RD1 飛行試験データのポストフライト解析", 第57回流体力学講演会/第43回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム論文集, JAXA-SP-25-010, p. 95-100, 2026.
-口頭発表
1) 松山 新吾 "S-520-RD1 飛行試験データのポストフライト解析," 第57回流体力学講演会/第43回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 2025.
2) 松山 新吾 "S-520-RD1 飛行試験における極超音速境界層の乱流遷移 DNS," 日本航空宇宙学会北部支部2026年講演会ならびに第7回再使用型宇宙輸送系シンポジウム, 2026.
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 64 - 284
- 1ケースあたりの経過時間: 80 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 2.59
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 67044086.87 | 3.04 |
| TOKI-ST | 16616.17 | 0.02 |
| TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-LM | 252097.10 | 18.99 |
| TOKI-TST | 10611.50 | 0.17 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 1024.00 | 1.64 |
| /data及び/data2 | 102400.00 | 0.67 |
| /ssd | 30720.00 | 1.87 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 28.69 | 0.09 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 9992.00 | 7.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)


