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火星航空機における流れ場と空力特性に関する数値的研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)

報告書番号: R25JACA41

利用分野: JSS大学共同利用

PDF(準備中)

  • 責任者: 佐藤允, 工学院大学
  • 問い合せ先: 佐藤 允, 工学院大学(msato@cc.kogakuin.ac.jp)
  • メンバ: 廣瀬 隆史, 飯田 悠生, 黒田 悠哉, 松元 太一, 佐藤 允, 谷口 満帆, 高橋 陽平, 幸田 宙士

事業概要

JAXA宇宙研が中心となって火星飛行機や火星ヘリコプタなどの火星航空機に関する研究開発プロジェクトが行われている. 火星の大気環境は地球と比べると密度が約1/100, 音速は約3/4であるため, 低レイノルズ数かつ高マッハ数でも高性能となる翼やロータの開発が必要不可欠である. 現在, JAXA宇宙研大山研究室では, 火星大気を模擬した低圧環境における火星ヘリ用ロータの空力性能を実験的に測定する研究を進めている. また, 火星飛行機に関する高高度飛行試験が過去に行われ, 超小型火星飛行機の高高度試験が計画されているが, これらの実験では航空機やヘリロータ周りにおける流れの詳細について調べることは極めて困難である. そこで本研究では, 様々な火星航空機周りの流れに関する数値解析を行うことにより, これらの空力特性および流れ場の詳細を明らかにすることを目的としている.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

圧縮性流体解析ソルバー「LANS3D」, JAXAで開発された流体解析ソルバー「rFlow3D」, 「FaSTAR」および「FaSTAR-MOVE」を用いて, 火星環境下での様々な航空機周り流れに関する大規模数値シュミレーションを行うため.

今年度の成果

前年度に引き続き, 火星飛行機におけるプロペラ-翼干渉の影響を明らかにするため, 低レイノルズ数領域においてプロペラ後流を模擬した旋回流れが翼の層流剥離泡に与える影響を調べた. 今年度はプロペラの配置や個数が層流剥離泡に与える影響について調べた. 東北大学でおこなわれた実験条件[1]に基づき, 翼レイノルズ数を30000とした. プロペラ流れはActuator Disk Modelを用いて模擬した. 数値解析ソルバーにはLANS3Dを用いた.

図1はActuator Disk Modelを用いて, プロペラの配置をコード方向に対して垂直に移動させた各結果における翼面上の摩擦係数分布を示している. 図より, プロペラの配置(ΔZ)によって, 翼面上の層流剥離泡の領域が吹き上げ側, 吹き下げ側ともに大きく変化することが観察された.

また, 前年度に引き続き火星ヘリコプタ用ロータの空力特性に対する壁面干渉の影響を調べた. 火星ヘリコプタ「HAMILTON」[2]のヘキサロータを対象とした数値解析をrFlow3Dを用いておこなった. 図2はヘキサロータと壁面の距離を変化させた各結果における垂直方向速度の断面分布を示している. ロータ-壁面間距離(g/D)が小さい場合, ロータ下流の流れが壁面側に引き寄せられ, ロータ間干渉がより顕著になっている様子がわかる.

加えて, 火星ヘリコプタ用ロータにおける閉鎖性の影響を調べた. 開空間(ロータ周囲に壁面が存在しない場合)・筒空間(側壁のみが存在する場合)・閉空間(側壁および上下の開口部が閉じられた場合)の三種類の空間条件が空力性能に与える影響を, FaSTAR-MOVEによる数値解析により比較した. 図3は筒空間における流れ場を示しており, 閉鎖性の影響がロータ空力性能に与える影響が示された.

[1] Okawa, M., Nishimura, R., Ikami, T., and Nagai, H., "Unsteady Propeller Wake Interference on Wing in Tractor Configuration at Low-Reynolds-Number Condition", J. Aircraft, vol.62, pp. 3-12 (2025).

[2] Sugiura, M., Tanabe, Y., Sugawara, H., Kimura, K., Oyama, A., Sato, M., Yoshikawa, K., Buto, Y., Kanazaki, M., Kishi, Y., Kikuchi, D., and Minajima, T., “Blade Shape Optimization of Mars Helicopter Exploring Pit Craters”, VFS Forum 78-paper93, (2022).

Annual Report Figures for 2025

図1: プロペラ-翼干渉における翼面摩擦係数分布に対するプロペラ配置の影響

 

Annual Report Figures for 2025

図2: 火星ヘリコプタ用ヘキサロータ周りの流れ場における壁面干渉の影響

 

Annual Report Figures for 2025

図3: 筒空間における火星ヘリコプタ用ロータ周りの流れ場

 

成果の公表

-口頭発表

[1] Hiroshi Yukita, Makoto Sato, "Sidewall effects on aerodynamic characteristics of hexacopter rotor under low Reynolds number conditions – toward Martian pit creator exploration –", the 78th Annual Meeting of the APS Division of Fluid Dynamics (2025).

[2] 黒田 悠哉, 佐藤 允, 大山 聖, 大西 龍汰郎, ”閉鎖環境における循環流が火星マルチコプタの空力性能に与える影響の数値解析”, 第63回飛行機シンポジウム(2025).

-ポスター

[3] 谷口満帆, 佐藤允, 後藤彰斗, "低レイノルズ数環境下でプロペラ誘起流れの特性が翼面層流剥離泡に与える影響", 日本機械学会 2025年度年次大会(2025).

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: 非該当
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 1
  • 1ケースあたりの経過時間: 720 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.30

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 6048153.44 0.27
TOKI-ST 576927.59 0.60
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 48.61 0.02
TOKI-LM 3219.18 0.24
TOKI-TST 108.01 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 1024.00 1.64
/data及び/data2 102400.00 0.67
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 262.45 0.18

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)