次世代吸音ライナ技術の研究開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
報告書番号: R25JDA101P00
利用分野: 航空技術
- 責任者: 長井健一郎, 航空技術部門航空環境適合イノベーションハブ
- 問い合せ先: 大木 純一(oki.junichi@jaxa.jp)
- メンバ: 大木 純一, 布山 陽介, 榎本 俊治, 松浦 英明, 加藤 悠之, 佐々木 大輔
事業概要
将来の高バイパス比航空エンジンでは, 吸音ライナの面積が従来のエンジンに比べて小さい. 本事業では, 小面積の吸音ライナでも高い音響性能を有し, かつ低抵抗を実現するデバイス技術を開発する.
参照URL
https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/alpha/ 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
吸音ライナ形状を変化させて多数のLES計算を行うため, JAXAスパコンの計算性能とストレージ容量が必要だった.
今年度の成果
吸音ライナは, 表面の微小孔層とその下部のハニカム構造セル層で構成される2層構造の薄板であり, 航空機のエンジン内壁に設置され, 特定の周波数帯の音波(ファン騒音)を吸音する. 一方で, 表面孔がグレージング流れを乱し, 圧力損失や抗力の増加など空力性能の劣化を招く可能性がある. そこで本研究では, 圧力変動下で吸音ライナの空力特性がどのように変化するのかを調査することを目的とし, 従来形状の丸孔(Round)と, 流れ方向に対して短辺を有する提案形状の長方形孔(Z-slit, 以下Z-slit 孔)を対象に, 乱流条件下で音波を模擬した圧力変動を加え3次元解析を実施した. その解析結果から孔近傍のせん断応力分布と渦構造を可視化して, それらが空力性能に与える影響を評価した. 孔近傍のせん断応力分布を図1と図2に示す. なお, 孔表面はレイノルズ応力から算出し, 孔近傍壁面はニュートンの粘性法則により評価した. この分布から, 孔近傍壁面よりも孔表面のせん断応力による損失が支配的であることが明らかになった. また, これらの解析結果の渦構造を図3と図4に示す. 損失の小さいZ-slit孔では渦の発達が抑制されており, 乱れの低減が確認された.
図3(ビデオ): 孔近傍の渦構造(丸孔)
図4(ビデオ): 孔近傍の渦構造(Z-slit孔)
成果の公表
-口頭発表
松浦英明, 佐々木大輔, 榎本俊治, 大木純一, 石井達哉, 3次元乱流における吸音ライナの音圧による効果とその解析手法の検討, 第53回日本ガスタービン学会定期講演会講演論文集, (2025-10-08).
Hideaki Matsuura, Daisuke Sasaki, Shunji Enomoto, and Junichi Oki, Flow structures and drag characteristics of slit-type acoustic liner model using large-eddy simulation, 2025 Asia-Pacific International Symposium on Aerospace Technology (APISAT2025), (2025-10-28).
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 128 - 140
- 1ケースあたりの経過時間: 120 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.53
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 13645339.13 | 0.62 |
| TOKI-ST | 28455.32 | 0.03 |
| TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-LM | 2851.26 | 0.21 |
| TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 0.00 | 0.00 |
| /data及び/data2 | 102400.00 | 0.67 |
| /ssd | 30720.00 | 1.87 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 128.51 | 0.39 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 576.67 | 0.40 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)


