航空機設計DXに関する研究開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
報告書番号: R25JCMP60
利用分野: 競争的資金
- 責任者: 橋本敦, 航空技術部門航空機DX技術実証(XANADU)プロジェクトチーム
- 問い合せ先: 金森正史(kanamori@chofu.jaxa.jp)
- メンバ: 布施 亮祐, 早川 真未, 林 謙司, 石田 崇, 窪田 健一, 金森 正史, 河野 貴久, 南部 太介, 大道 勇哉, 坂本 州, 坂本 達季, 魚野 瑞樹, 湯井 悟志
事業概要
本事業は, NEDOによる「経済安全保障重要技術育成プログラム/航空機の設計・製造・認証等のデジタル技術を用いた開発製造プロセス高度化技術の開発・実証」(以降Kプロと呼称)への提案に対応するものである. 現在, 国内重工メーカーとJAXAが共同でこの提案を行っている. Kプロは, 2023年度から2027年度までの期間で, 大きく4つの項目の実施が要求されているが, その一つが本事業の設計DXである. 設計DXのテーマは, 概念設計フローの革新であり, 航空機レベルからコンポーネントレベルまでの設計プロセスにおいて, MBSE-MBD連携の導入によって, 手戻り期間の3割を削減することを目的とする. この中でJAXAは, 航空機及びエンジンを対象としたMBD部分を主に担当し, 設計の早期段階で空力解析等の忠実度を向上させることで, 上記の目標達成に寄与する. 具体的には, 重工から提供される航空機の設計候補(最大10,000個体)について, 必要な空力性能をCFD解析等により規定期間内に評価完了させること, また, エンジンの設計に資する圧縮機翼列解析結果のデータベースを作成することを目標としている.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
本事業では, 重工メーカーから提供される非常に多数の設計候補, 設計条件に対し, 各種空力性能をCFD解析等で評価しなければならない. そのためには, 重工メーカーが認めるセキュリティを確保しつつ, 非常に多数の候補に対して必要なタイミングで数値解析により評価できるほどの計算機リソースが必要である. これらの条件を満たすことが可能なのは, JSSを除いて他に無い.
今年度の成果
航空機全体を対象とした概念設計フローへの寄与においては, 昨年度までに作成した, 最大10,000個体の形状を評価する縮約モデル(Reduced Order Model, ROM)の構築フロー, 及びそれによる性能評価, また, 更に忠実度の高いCFD解析, 最適化を重工メーカーと協働して実行し, 無事に要求時間内での実施を完了させた. 特に, 航空機の離着陸時における高揚力形態の最大揚力係数を, 定常計算により高精度に予測できる新しい乱流モデルを構築し, 設計という限られた時間でのクリティカルな状態に対する性能評価を現実のものにすることができた.
エンジン圧縮機を対象としたRANS解析高精度化の参照データとする流れ場データベースの作成を, Zonal DESによる詳細解析により実施した. チップクリアランスを含む三次元動翼列及び多段軸流圧縮機を対象に解析を実施し, 目標精度を満たした流れ場データベースを作成することができた.
本稿の成果は, NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託業務(JPNP22007)の結果得られたものである.
成果の公表
-口頭発表
・金森 正史, 石田 崇, 窪田 健一, 方程式探査技術による大迎角剥離流れに対する乱流モデルの修正, 第63回飛行機シンポジウム
・横山崇朗, 内海雄紀, 長倉宏至(三菱重工業株式会社)金森正史, 大道勇哉, 窪田健一(JAXA), 設計DX ① システム記述モデルと解析技術を用いた航空機の概念設計プロセス構築, 第63回飛行機シンポジウム
・廣田健太郎, 山﨑智基, 榎友謹, 久枝孝太郎, 谷直樹, 坂井俊哉(IHI), 南部太介, 窪田健一(JAXA), 設計DX② 航空機用エンジンへのMBSE手法の適応技術の開発(第2報), 第63回飛行機シンポジウム
・Yokoyama Takaaki, Yuki Utsumi, Hiroshi Nagakura(MHI), Masashi Kanamori, Omichi Yuya and Kenichi Kubota(JAXA), Model-Based Multi-Fidelity Convergent Design Process for Commercial Aircraft, AIAA SciTech2026
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 480 - 2880
- 1ケースあたりの経過時間: 2 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 6.76
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 172528335.46 | 7.82 |
| TOKI-ST | 1359219.40 | 1.41 |
| TOKI-GP | 208449.05 | 3.37 |
| TOKI-XM | 36676.24 | 12.60 |
| TOKI-LM | 34772.07 | 2.62 |
| TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 2048.00 | 3.28 |
| /data及び/data2 | 204800.00 | 1.35 |
| /ssd | 61440.00 | 3.73 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 15.71 | 0.05 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 5575.42 | 3.91 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2025年2月~2026年1月)
