デブリ推移モデルによる長期軌道上デブリ環境予測
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JG3105
利用分野: 研究開発
- 責任者: 杉田寛之, 研究開発部門第二研究ユニット
- 問い合せ先: 原田隆佑(harada.ryuusuke@jaxa.jp)
- メンバ: 原田 隆佑, 岩崎 善行, 北川 康弘, 河本 聡美, 長岡 信明
事業概要
スペースデブリの増加は, 宇宙活動の安全確保のため問題となってきている. JAXAではスペースデブリの低減と軌道環境維持のためにスペースデブリに関わる技術の研究開発を継続している. 本事業ではJAXAと九州大学が共同開発した軌道上デブリ環境推移モデル(NEODEEM)による将来の軌道環境の予測に基づいてスペースデブリ対策の有効性等を評価している.
参照URL
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
NEODEEMでは, 20000個を超える要素の200年以上に及ぶ軌道伝搬と軌道上事象をモンテカルロ法(100回の実行の平均処理)を使って予測する. そのため解析にかかる時間の短縮と大量のデータ処理のため, JSS3を利用した. PC版(Linux, WINDOWS)との互換性からTOKI-RURIを用いている.
今年度の成果
将来の軌道上環境評価の一環として, 大規模コンステレーションの爆発事象に関し, デブリ環境推移モデル(NEODEEM)を用いて評価を行った. 爆発の機数, 高度及び爆発の度合いを表すスケールファクターに注目した解析を行いコンステレーション爆発が軌道環境に与える影響を確認した(図1). また宇宙機やミッションが与える環境への影響を評価する指標(Debris indices)についても評価を実施し, 短期的・長期的にも効果が高い指標を検討した(図2). これらの結果に基づきデブリ低減対策の有効性を評価し, 国際ルールを議論するための根拠として活用している.
成果の公表
-査読付き論文
Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka, Yasuhiro Kitagawa, Ryusuke Harada, Toshiya Hanada, Considerations on the lists of the top 50 debris removal targets, Journal of Space Safety Engineering, https://doi.org/10.1016/j.jsse.2022.05.006
-査読なし論文
Ryusuke Harada, Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka, and Toshiya Hanada, The Imapct Assessment of Accidental Explosions of Large Constellations on Low Earth Orbit, IAC 2022 in Paris
-口頭発表
1. 長岡信明, 河本聡美, 原田隆佑, 北川康弘, 花田俊也, 軌道上デブリ推移モデルを用いた軌道上破砕片の推移解析, 第10回スペースデブリワークショップ, 調布
2. 原田隆佑, 河本聡美, 長岡信明, 花田俊也, スペースデブリインデックスの活用及び定式化に関する検討, 第10回スペースデブリワークショップ, 調布
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 同一初期条件のモンテカルロ試行を複数コアに割り当て, 並列処理
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 20 – 30
- 1ケースあたりの経過時間: 12 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.19
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 0.00 | 0.00 |
TOKI-ST | 1534766.55 | 1.53 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 3672.76 | 0.25 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 35.00 | 0.03 |
/data及び/data2 | 350.00 | 0.00 |
/ssd | 350.00 | 0.05 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 27.40 | 0.12 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)