デブリ推移モデルによる長期軌道上デブリ環境予測
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)
報告書番号: R21JG3105
利用分野: 研究開発
- 責任者: 杉田寛之, 研究開発部門第二研究ユニット
- 問い合せ先: 長岡信明(nagaoka.nobuaki@jaxa.jp)
- メンバ: 原田 隆佑, 北川 康弘, 河本 聡美, 長岡 信明, 山口 徳彦
事業概要
スペースデブリの増加は, 宇宙活動の安全確保のため問題となってきている. JAXAではスペースデブリの軽減と軌道環境維持のためにスペースデブリに関わる技術の研究開発を継続している. 本事業ではJAXAと九州大学が共同開発した軌道上デブリ環境推移モデル(NEODEEM)による将来の軌道環境の予測に基づいてスペースデブリ対策の有効性等を評価している.
参照URL
http://www.kenkai.jaxa.jp/research/debris/debris.html 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
NEODEEMでは, 20000個を超える要素の200年以上に及ぶ軌道伝搬と軌道上事象をモンテカルロ法(100回の実行の平均処理)を使って予測する. そのため解析にかかる時間の短縮と大量のデータ処理のため, JSS3を利用した. PC版(Linux, WINDOWS)との互換性からTOKI-RURIを用いている.
今年度の成果
将来の軌道上環境の評価の一環として, 現在各機関で提案されている環境改善の指標(Debris Index)に関し, デブリ環境推移モデル(NEODEEM)を用いて比較・評価を行なった. 各指標に基づくADR(Active Debris Removal)対象50機を選び, 軌道環境の改善効果を確認した(図1). また, 発生要因が不明の低軌道における微小デブリ群について, 静止遷移軌道上に放置されたロケットから生じた微小デブリとの衝突がその要因であるかの検討を行った(図2, 3). 昨年ロシアが行ったASAT(COSMOS-1408衛星)に関しても, NEODEEMを用いて結果の評価・検討を行った.
これらの結果に基づきデブリ軽減対策の有効性を評価し, 国際ルールを議論するための根拠として活用している.
成果の公表
-査読付き論文
Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka, Yasuhiro Kitagawa, Ryuusuke Harada, Toshiya Hanada “Considerations on the lists of the top 50 debris removal targets” JSSE
-査読なし論文
1.Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka, Yasuhiro Kitagawa, Ryuusuke Harada, Toshiya Hanada “Considerations on the lists of the top 50 debris removal targets” IAC 2021 Dubai
2.Ryusuke Harada, Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka,Toshiya Hanada “Environmental Impacts of GTO Objects on LEO” ISTS
-口頭発表
1.Satomi Kawamoto, Nobuaki Nagaoka, Yasuhiro Kitagawa, Toshiya Hanada “Evaluation of impacts of large constellations using a debris evolutionary model for considering environment capacity” 8th European Conference on Space Debris
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 同一初期条件のモンテカルロ試行を複数コアに割り当て, 並列処理
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 20 – 30
- 1ケースあたりの経過時間: 12 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.16
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 0.00 | 0.00 |
TOKI-ST | 1079359.34 | 1.33 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 2154.55 | 0.16 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 30.00 | 0.03 |
/data及び/data2 | 300.00 | 0.00 |
/ssd | 300.00 | 0.08 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 23.10 | 0.16 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)