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ターボポンプ解析技術

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)

報告書番号: R21JG3214

利用分野: 研究開発

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  • 責任者: 清水太郎, 研究開発部門第三研究ユニット
  • 問い合せ先: 鵜飼 諭史(ukai.satoshi@jaxa.jp)
  • メンバ: 雨川 洋章, 大門 優, 福田 太郎, 藤原 大典, 深澤 修, 國嶋 雄一, Ashvin Hosangadi, 根岸 秀世, 中島 健賀, 大西 陽一, 大野 真司, Andrea Zambon, 外山 雅士, 鵜飼 諭史, 山本 啓太

事業概要

ターボポンプは液体ロケットエンジン開発においてコストや期間, リスクの観点で依然としてボトルネックなコンポーネントである. また, ターボポンプはそれ自体がポンプ, タービン, 軸受, 軸推力バランス機構, シール機構等のサブコンポーネントで構成される複雑なシステムであり, ターボポンプシステム全体を評価できる解析技術は世界的にも存在しない. またサブコンポーネントレベルの数値シミュレーション技術自体も, 予測精度が低いため試験による設計妥当性評価が必須となる.

本研究では, ターボポンプに係る数値シミュレーション技術の予測精度を高めつつ, ターボポンプシステム全体の評価を可能とする解析技術を目指す. その解析技術の活用により, 試験削減・代替を可能として今後のロケットエンジン開発をより低コスト, 短期間で実現します. また, ロケットエンジンのポンプやタービンは, 一般産業界のものより小型で高速回転など極限環境で使われるために効率が低いことが知られている. 近年ではAdditive manufacturing技術の進展により, 従来では不可能であった形状の製品開発も可能となってきており, 本研究で構築するターボポンプ解析技術を活用することで, 革新的な高効率ターボポンプの設計実現を目指す.

参照URL

https://stage.tksc.jaxa.jp/jedi/simul/index.html 参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

・JAXAの技術でしか実現できない計算精度, 現象忠実度が高い大規模解析を可能とすること

・JAXAにおけるロケット開発の中でタイムリーに解析を実施し, 限られた期間内に結果を多数提示すること

・機微情報となるロケット関連情報をJAXA内のみで閉じて扱えること

今年度の成果

FY2021は, 3次元URANS解析によるタービン予測精度の検証を実施し, 液体ロケット水素および酸素タービンに対して, 効率を4%以内の精度で予測できることを確認した. また, 同手法を適用し, パーシャルアドミッションタービンのついて性能予測が精度良く出来る事を示し, パーシャルアドミッションの性能モデルも提案した. 図1にパーシャルアドミッションタービンの全形の圧力と密度勾配分布を示す. また図2にフルアドミッションとパーシャルアドミッションののマッハ数分布を示す.

タービン翼が共振した際に発生する振動応力の解析手法についても提案し, 複数の試験条件で同オーダーの結果が得られることを確認した.

ここで構築された解析技術は, H3ロケット1段エンジンLE-9のターボポンプ開発に活用されている.

Annual Reoprt Figures for 2021

図1: パーシャルアドミッションタービン解析範囲における圧力分布

 

Annual Reoprt Figures for 2021

図2: フルアドミッションとパーシャルアドミッションタービンにおける複数の作動点 (U/C0 = 0.09, 0.176, 0.250)のミッドスパンのマッハ数分布

 

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: FLAT
  • プロセス並列数: 4800 – 20160
  • 1ケースあたりの経過時間: 300 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 3.33

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 78180127.04 3.80
TOKI-ST 127522.22 0.16
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 51111.69 3.81
TOKI-TST 52.91 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 634.28 0.63
/data及び/data2 47271.32 0.51
/ssd 5360.47 1.38

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 13.63 0.09

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 2325.67 1.63

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)