エコウィング技術の研究開発(将来システム設計基盤技術)
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)
報告書番号: R21JA0602
利用分野: 航空技術
- 責任者: 石井達哉, 航空技術部門航空環境適合イノベーションハブ
- 問い合せ先: 郭 東潤, 航空環境適合イノベーションハブ(kwak.dongyoun@jaxa.jp)
- メンバ: 郭 東潤, 村山 光宏, 伊藤 靖, 坂井 玲太郎, 池田 友明, 古谷 龍太郎
事業概要
将来の亜音速航空機に適用し, 優位な環境性能を実現するための空力・騒音および構造技術を開発し, 要素・システム技術開発を進めることで, 国内航空産業の競争力強化に貢献する.
参照URL
https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/igreen/ 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
将来航空機の環境性能を革新的に改善する空力抵抗低減技術, 低騒音化技術, 推進系搭載を含む統合設計技術を開発するために, CFD解析技術開発とCFDを用いた設計・評価を行っている. 推進系も含めた航空機全機形状や離着陸時の高揚力装置を展開した複雑な形状における詳細な流れ場を理解し, 構造・重量等も考慮しながら空力・騒音性能を改善する方法を追求するため, 迅速に正確な空力・騒音特性を把握する必要があり, 多数のケースをタイムリーに評価可能なJSS利用が必須である.
今年度の成果
自然層流翼化による抵抗低減技術は, 航空機の燃費性能を大幅に改善し, CO2排出量を削減する技術の一つとして期待されている. 自然層流翼実用化のためには, 翼前縁付近からの乱流遷移を引き起こす原因となる翼表面段差や虫等の付着による汚染を避ける必要があるが, 多くの旅客機で用いられている離着陸時に失速を遅らせるために展開する前縁スラットは, 収納時に主翼上面側に段差が生じる. そこで本研究では, スラットに代わる翼前縁高揚力装置として, 翼上面の平滑化や翼前縁への虫付着の抑制にメリットを持つクルーガーフラップの適用を考え, その空力性能向上と低騒音化に関する研究を行った.
120席級JAXA技術参照機体の代表断面位置の自然層流翼型を対象に着陸・離陸条件での空力性能と母翼前縁への虫汚染防護性能向上のための形状と配置をRANS定常CFD解析により検討した(図1). また, 非定常流CFD解析を用いた騒音性能評価により, 主翼下面側から展開するクルーガーフラップの駆動機構が騒音性能へ与える影響量と騒音源を特定した(図1).
成果の公表
-口頭発表
古谷龍太郎, 村山光宏, 坂井玲太郎, 伊藤靖「2次元層流翼に対するクルーガーフラップの空力設計及び空力騒音評価」第59回飛行機シンポジウム, 3D14, 2021年12月
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1728 – 5280
- 1ケースあたりの経過時間: 380 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 2.32
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 54518659.69 | 2.65 |
TOKI-ST | 69351.14 | 0.09 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 57461.97 | 4.28 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 633.05 | 0.63 |
/data及び/data2 | 29893.19 | 0.32 |
/ssd | 3502.49 | 0.90 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 309.69 | 2.09 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 89.91 | 0.06 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)