JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月～2023年1月)

報告書番号: R22JDA201G21

利用分野: 航空技術

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• 責任者: 橋本敦, 航空技術部門 航空機ライフサイクルイノベーションハブ
• 問い合せ先: 保江かな子(yasue.kanako@jaxa.jp)
• メンバ: 東田 洋和, 菱田 学, 橋本 敦, 早川 真未, 林 謙司, 池田 友明, 石田 崇, 金山 正俊, 桐原 亮平, 金森 正史, 桑原 匠史, 松尾 裕一, 松山 新吾, 溝渕 泰寛, 南部 太介, 齋木 英次, 志村 啓, 篠塚 温志, Andrea Sansica, 谷口 翔太, 保江 かな子, 八百 寛樹

事業概要

航空機はメカ・エレキ・ソフトで構成される大規模複雑システムであり, 高度なすり合わせ設計が要求され, 早期の検証・妥当性確認(Early V&V)も困難である. そのため, 開発期間・コストの増加傾向に歯止めがかからない状況である. これを解決する技術として, Model-Based Systems Engineering(MBSE)が注目されている. 本研究では, 航空機開発の期間短縮・コスト削減を目的とし, JAXAの強みである数値シミュレーション技術及びAI技術を組み合わせた高度なMBSE技術を開発することを目標とする. JSS3を用いて, 旅客機の空力・構造解析, 回転翼機(eVTOL)の空力・騒音解析, 航空エンジンの空力・燃焼解析など, 多分野統合シミュレーション技術を開発する.

参照URL

https://www.aero.jaxa.jp/research/basic/numerical/ 参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

非定常現象扱う大規模な解析を実施し, 現象を理解するためには必要不可欠である.

今年度の成果

・フライトレイノルズ数で世界初のバフェットの全体安定性解析. バフェットのオンセットを予測して, buffet cells(図1a)とside-of-body separation(図1b)モードを見つけた. Side-of-body separationモードは高Re数で初めて発見された. 第40回ANSS最優秀賞(数値シミュレーション技術部門)を受賞した.

・移動重合格子を用いたCFD解析ツールFaSTAR-Moveと, FW-H法ベースの騒音解析ツールrNoiseとの連成機能を実装し, 非構造格子ベースの空力・騒音連成解析を可能とした. 4枚ブレードのロータの空力・騒音解析を実施し, 騒音カーペットに置いて実験と同等の分布を得た(図2, 都合により解析結果のみ図を掲載).

・騒音伝播解析ツールiAWESOMEの安定化・高速化を実施し, 30億点規模の大規模解析を20時間で実施可能となった(図3).

・HINOCA-AEにLES燃焼解析が可能となる機能実装を実施した. 燃焼試験機との出口温度比較で測定値との誤差100K以内を達成した(図4).

図1: フライトレイノルズ数のbuffet cells(図1a)とside-of-body separation(図1b)モード

図2: 4枚のブレードを有するロータの騒音カーペット結果

図3: 全機形状エンジンファン騒音遮蔽効果評価解析例

図4: HINOCA-AEの解析による燃焼器の温度分布図

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 非該当
• プロセス並列数: 480 - 8472
• 1ケースあたりの経過時間: 200 時間

JSS3利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 1.36

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

ISV利用量

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月～2023年1月)