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CMB偏光観測衛星LiteBIRDの光学要求解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)

報告書番号: R21JDU20199

利用分野: 宇宙科学

PDFはここからダウンロード

  • 責任者: 山田亨, 宇宙科学研究所宇宙物理学研究系
  • 問い合せ先: 永田 竜(nagata.ryo@jaxa.jp)
  • メンバ: 永田 竜

事業概要

LiteBIRD は宇宙科学研究所の戦略的中型衛星 2 号機として 2020 年台後半の打上げに向けて準備中の科学衛星計画である. ミリ波の帯域で走査観測を行うことでマイクロ波背景輻射偏光の全天地図作成を企図するものである. 偏光地図の奇パリティ成分を高い精度で分離し, 初期宇宙のインフレーションに由来する原始背景重力波の信号検出を目指している. 密度揺らぎによってもたらされる偶パリティ成分の信号に比べて, 原始重力波に紐づいた偏光成分は遥かに微弱なものであると予想されており, 装置特性やそれに付随する系統誤差を詳らかにすることは喫緊の課題である.

2021 年度の活動では, 望遠鏡の偏光特性の測定におけるビームサイドローブの影響について検討を進めた. 最新の低周波望遠鏡(LFT)シミュレーションモデルを用いて, 主ビーム, 近傍サイドローブ, 遠方サイドローブの各領域からもたらされる偏光角測定への寄与を同定した. またこの時, 偏光角の評価値から推定される系統誤差水準とビームパターンからエンドツーエンドにシミュレーションされた系統誤差が一致することを検証した. 加えて, 新しいスキャンパターンによる系統誤差低減効果の評価や, 太陽離角の焦点面検出器位置に対する依存性の分析といった, 過去の検討結果の更新作業にも取り組んだ.

参照URL

LiteBIRD: インフレーション宇宙を検証するCMB偏光観測小型科学衛星」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

LiteBIRD 計画では, 走査観測によってマイクロ波背景輻射偏光の全天地図を作成する目論見である. 本課題では時系列データの数値的な生成から偏光地図への変換まで, 一連のデータ処理を実解析に則った形でシミュレーションする. 三年間の観測期間を通じて 19 Hz のサンプリングレートで生成される各疑似データ標本に対して, 偏光ビームパターンの畳み込み積分を実行する. 積分は標本毎に千平方度を超える領域で実行され, ビーム関数は分角スケールの分解能(数百万グリッド点)でその都度評価される. 球面上の各点に偏光特性を射影することに伴う座標変換の繰り返しには巨大な計算量が求められるため, 集積された数値計算資源を必要とする. LiteBIRD は宇宙科学研究所戦略的中型衛星 2 号機に選定されており, 本課題において達成された検討成果は光学設計の根幹をなす要素としてプロジェクトの推進に大いに寄与している.

今年度の成果

最新の LFT 光学シミュレーションにもとづいた偏光ビームパターンを導入し, 偏光特性の測定実験を数値的に再現することで, 偏光角の応答におけるビームパターンの部位毎の寄与を評価した. (図 1) は, 焦点面端に位置する検出器の 35 GHz 帯ビームパターンにもとづいて, 角度バイアスの区間依存性を示したものである. メインビーム領域ですでに 1 度角のバイアスが生じており, またメインビーム端から近傍サイドローブ領域にかけてバイアスが 0.3 分角程度増加していることが認められる. 一方, 遠方サイドローブ領域ではビーム振幅の速やかな減少にともなって偏光角評価への有意なバイアスは見られなかった. 近傍サイドローブ領域からくる系統誤差への寄与が実際に 0.3 分角相当であることを, 偏光ビームパターンの畳み込みシミュレーションとの比較から検証することで, 数度角までの領域で測定された偏光角による角度較正の有効性を確認した.

本年度はそれらに加えて, 更新された望遠鏡走査方式によってもたらされる諸々の系統誤差の低減効果について調査し, 一部の誤差については若干の低減が見られることを確認した. また, 望遠鏡指向と太陽の離角について焦点面検出器の位置に関する依存性を評価し, 太陽光漏込の影響に関する検討にも着手した.

Annual Reoprt Figures for 2021

図1: LFT 焦点面端 35 GHz 帯ビームパターンにおける偏光角バイアスの区間依存性

 

成果の公表

-Web

https://litebird.isas.jaxa.jp/

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 24
  • 1ケースあたりの経過時間: 3 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.03

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 698672.48 0.03
TOKI-ST 63.21 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 3.33 0.00
/data及び/data2 666.67 0.01
/ssd 33.33 0.01

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.09 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)


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所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1