ラムジェットエンジンの燃焼数値解析手法の技術習得
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月～2022年1月)
報告書番号: R21JTET50
利用分野: 技術習得方式
- 責任者: 青山剛史, 航空技術部門航空機ライフサイクルイノベーションハブ
- 問い合せ先: 内山 和哉(kazuchiyama@toki.waseda.jp)
- メンバ: 内山 和哉
事業概要
極超音速統合制御実験(HIMICO) は, 極超音速旅客機の実現に向けた研究開発の第1 段階であり, JAXA と大学により進められている. 本計画で用いるラムジェットエンジンは気体水素を燃料とする. 実験回数及び燃焼実験設備の制約による実験データの不足や飛行条件と実験条件の相違といった課題がある. そこで, 実験データの補間や着火・保炎等の燃焼現象の把握を目指し, 数値解析を行う.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
格子点数1000万点以上の実機スケールで詳細化学反応を考慮したLESを行うと, 計算コストが高くなる. 並列処理が可能なJAXAスーパーコンピュータを用いることで, 現実的な時間での解析が可能になった.
今年度の成果
HIMICO用ラム燃焼器における自己着火現象の解明と自己着火限界の予測を目的として, JAXAの高速流体解析ソルバFaSTARを基に, 化学種の輸送方程式等を実装して当研究室で開発された反応性流体解析ソルバの改良を行った.
本ソルバを用いて, 燃焼器上流のインテークにより生じるディストーションが自己着火に与える影響の調査を行った. 実機スケールの燃焼器を対象として, 水素―空気9化学種23反応を考慮したLESによる数値解析を行った. その結果, 燃焼器入口にディストーションを与えたケースでは, 与えないケースよりも0.96倍とわずかに着火が早まったものの, 影響は軽微であるとわかった.
図1: HIMICO用ラムジェットエンジン全体図
図2: 燃焼器流入境界に与えたディストーション
図3: インジェクタ背後の再循環領域における最大静温および平均静温の時間変化
図4: インジェクタ背後の再循環領域における最大Hモル分率および平均Hモル分率の時間変化
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1024
- 1ケースあたりの経過時間: 250 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.18
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| TOKI-SORA | 3974280.21 | 0.19 |
| TOKI-ST | 82960.33 | 0.10 |
| TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
| TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 250.00 | 0.25 |
| /data及び/data2 | 15360.00 | 0.16 |
| /ssd | 1500.00 | 0.39 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.01 | 0.00 |
|---|
※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
| 利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
|---|---|---|
| ISVソフトウェア(合計) | 716.02 | 0.50 |
※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月～2022年1月)