本文へ移動

サイトナビゲーションへ移動

検索ボックスへ移動

サイドバーへ移動

ここは、本文エリアの先頭です。

共変リャプノフベクトル解析を通した回転球面上およびβ平面上2次元乱流の比較

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)

報告書番号: R21JACA46

利用分野: JSS大学共同利用

PDFはここからダウンロード

  • 責任者: 小布施祈織, 岡山大学
  • 問い合せ先: 小布施祈織(obuse@okayama-u.ac.jp)
  • メンバ: 原 翔一郎, 小布施 祈織

事業概要

回転球上の2次元乱流を考える際には, 大まかにいえば, 球面上の流れ場をそのまま取り扱う球面モデルと, 球面上のある一点における摂平面上での流れ場を考えるベータ平面(近似)モデルが存在する. ベータ平面モデルはその簡易さにより, 多くの惑星大気研究で用いられている. しかしながら, いくつかの局面ではこれら2つの数理モデルはまったく異なった挙動を示すことが確認されている. たとえば, 木星大気などにみられる縞状構造と関連させて議論されることの多い大規模帯状流の形成における相違がその例である. それゆえ, ベータ平面モデルの使用の信頼性を, 目的に応じて正しく理解しておくことは非常に重要である. 本研究課題ではリャプノフ解析を通して, 両モデルにおける2次元乱流の時間発展特性を議論するとともに, ベータ平面近似の適用範囲を調査することを目的とする.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

共同研究をする可能性のある研究グループがJAXAスーパーコンピューティングシステムにアカウントを有していたため, 共同研究をする場合のデータの共有を考えると当システムの利用が望ましいと考えた.

今年度の成果

本研究課題では, 回転球面上2次元乱流およびβ平面上2次元乱流において, 十分に時間が経過した後の大規模構造を有した流れ場(基本場)について, リャプノフ解析を行った.

Shimada-Nagashima(1979)の方法を用いて上位15 個のリャプノフ指数を調べたところ, β平面では球面に比べてやや小さな値を有しており, さらに15 個が強く縮退していた. 次いでリャプノフベクトル(共変リャプノフベクトル)をGinelliら(2007)の方法を用いて数値的に求め, 構造を調べたところ, 球面でのリャプノフベクトルは全て, 各半球にまたがり特に極周辺で強い値を持つ渦巻き状の構造を有することが見いだされた. 一方, β平面ではどのリャプノフベクトルでもはっきりとした構造は示されなかった. 球面とβ平面でのリャプノフ指数およびリャプノフベクトルが大きく異なる性質を示すことは, 少なくともリャプノフ指数やベクトルが関係するような問題において, そしておそらくは長い時間スケールでの流れの変化に関わる問題において, β平面は球面の良い近似とはなっていないことを示唆している.

また, 球面上でのリャプノフベクトルで確認された渦巻構造は, 何らかの量の輸送に関わっている可能性があり, この構造の理解は球面での大規模構造形成およびその維持メカニズムの解明に知見を与える可能性があると考えている. 渦巻構造の起源については, 引き続き調査中である. さらにこの渦巻構造は球の回転軸周りに一定の速度で回転しているように見うけられ, その速度は基本場においてみられる大規模構造が回転軸周りに回転している速度と関係づけられているように見える. これらが実際にどのような関係を持っているのかについても, 現在研究を進めているところである.

成果の公表

-招待講演

Kiori Obuse, "Spherical and β-plane approximation models for two-dimensional turbulence on a rotating sphere", AAPPS-DPP2021, 29th September 2021

Kiori Obuse, "Towards an understanding of the mechanism of zonal flow formation ", FusionPlasmaSeminar,

-口頭発表

原翔一郎, 小布施祈織, "回転球面とβ平面上2次元乱流のリャプノフ解析による比較", 日本物理学会第77回年次大会, 2021年3月17日

-その他

原翔一郎, "回転球面とβ平面上2次元乱流のLyapunov解析による比較", 岡山大学大学院環境生命科学研究科修士論文, 2022年2月

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: 非該当
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 1
  • 1ケースあたりの経過時間: 50 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.01

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 268372.92 0.01
TOKI-ST 0.00 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 250.00 0.25
/data及び/data2 10440.00 0.11
/ssd 200.00 0.05

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)


ここは、サイドバー・エリアの先頭です。

おしらせ-最近の追加

Language / 言語

「利用成果報告」の公開

JSS3を利用するには

JSS3 を利用するには 「利用するには 」ページをご覧ください。

活躍する計算技術-最近の追加

所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1