JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月～2021年3月)

報告書番号: R20JA0602

利用分野: 航空技術

PDFはここからダウンロード

• 責任者: 牧野好和, 航空技術部門航空システム研究ユニット
• 問い合せ先: 郭 東潤, 航空システム研究ユニット(kwak.dongyoun@jaxa.jp)
• メンバ: 高石 武久, 村山 光宏, 伊藤 靖, 坂井 玲太郎, 平井 亨, 田中 健太郎, 雨宮 和久, 中野 彦, 池田 友明, 黒田 文武, 大平 啓介, 郭 東潤, 古谷 龍太郎, 賀澤 順一

事業概要

国際競争力強化によるシェア拡大を実現するため, 優位な環境性能を実現するための空力・騒音および構造技術を開発し, 実用化に向けて技術検証を進めるとともに, 要素・システム技術開発を進めます.

参照URL

https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/igreen/ 参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

機体の空力, 構造解析とのトレードスタディが可能なレベルで, 機体騒音, エンジン-機体干渉/騒音遮蔽効果を評価する解析技術の構築およびその評価のためにスパコンを利用している. エンジン-機体騒音, 干渉/遮蔽効果予測に関して簡易的な解析では誤差が大きく, 将来型低騒音機体概念設計において, 近年fidelityが上がってきている空力解析や構造解析とのトレードスタディには限界があり, 高度な騒音源解析や騒音伝播解析技術の開発や機体全体規模での解析にはスパコンが必須である.

今年度の成果

摩擦抵抗低減技術のひとつである自然層流翼においては燃費性能の大幅な改善が期待される一方, 翼前縁の高揚力装置であるスラットとの両立に課題がある. スラットに代わる翼前縁高揚力装置として, 翼上面の平滑化や翼前縁への虫付着の抑制といったメリットを持つクルーガーフラップを採用し, 空力形状設計を実施した.

120席級JAXA技術参照機体(TRA2022-3次形状, 自然層流翼)の外翼側の代表断面位置の翼型に対して, 2次元クルーガーフラップ形状・配置を設計し, αスイープを通して従来型スラットよりも高い空力性能を達成した. このクルーガーフラップにおいて, 後縁付近での乱流運動エネルギーの減少より, 従来スラットに比べ大幅な低騒音化効果も見込んでいる (Fig.1). これらの結果に基づき, 低速で空力性能と低騒音を両立する前縁高揚力装置の目処を得ることができた.

図1: JAXA自然層流翼型に対するクルーガーフラップ形状・配置設計(従来型スラットとの空力・騒音性能比較)

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 非該当
• プロセス並列数: 1728
• 1ケースあたりの経過時間: 110 時間

JSS2利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.28

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JSS3利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.62

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月～2021年3月)